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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん


マネージャーである胡蝶さんが言うには、現在☆HASHIRA☆はバンド結成10周年記念のアルバムを制作することを検討しているそうだ。

そのアルバムに収録する曲を決めるのにもう長いこと話し合いを続けているのだが

あぁじゃない
こうじゃない
こうしたい
ああしたい

と、それぞれが互いのこだわりを譲り合うことが出来ず話が全く進まなくなってしまったそうだ。

大切な記念のアルバムだから拘りぬきたいところではあるが、このまま行けば11周年を迎えてしまう。なので一旦メンバーの拘りは捨て、ファンの意見を聞いてみるのはどうかと、レーベルの社長からアドバイスがあり、その方向で一旦は話が纏まる方向に向かった。

けれども、それに"嫌だ"と言ったのが天元さんだったそうだ。


”10周年記念のアルバムは自分たちにとって大切なものだ。ファンの声を参考にすることを悪いこととは言わねぇが、最近の俺たちのファンは曲云々よりも俺たちの見た目ばかり騒ぐ奴らも多い。そんなん1ミリも参考になんねぇよ!”


と、半ギレで言ったらしい。

そこまで名前が売れていないときはよかった。天元さんも、そしてファンも、純粋に音楽を楽しんでいたからだ。けれども1度メディアで取り上げられて以来、言い方はよくないが俄かファンが増え、歌や演奏よりもビジュアルばかりに注目されるようになり、天元さんはそれに対しかなりのパラドックスを抱いていたそうだ。

私自身もライブに参戦するファン層の変化に、戸惑いを覚えた記憶がある。だから当の本人達が何も感じないはずがない。

それでも求められているだけ幸せだと、ファンが求める姿を優先していたそうだが、10周年記念アルバムに関してはどうしても譲れなかったらしい。

胡蝶さん、そして宇髄さん自身の口から語られる事実に


…天元さんも…そんな風に思ってたんだ


なんだか安心感を覚えた。

☆HASHIRA☆のメンバーは、5人全員の容姿のレベルがまぁ高い。それは事実だし、人目を自然と引いてしまうのだから、メディアがそこを取り上げるのは仕方がない。

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