第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん
「ほれよ」
天元さんが私に差し出してきたのは、ぱっと見た感じお酒という感じは全くせず
「…コーヒー牛乳…?」
その言葉がぴったりと当てはまるような代物に見えた。恐る恐る受け取り匂いを嗅ぐもやはり匂いもコーヒー牛乳のそれだ。
「グイっと…飲んでみな」
天元さんにじっと見られながらそう言われ
…あぁ!もう自棄だ!
「っわかりました!いただきます!」
グラスに注がれているコーヒー牛乳のような飲み物に口を付けた。
…ん?…何これ…凄く美味しい…
ここに到着してから驚きの連続(いや驚きしかない)で疲れた頭を癒してくれるような甘さと冷たさに、ゴクゴクと勢いよく飲んでしまう。
”彼女、あのように一気に飲んで平気なのか?”
”俺に聞くなァ”
”こだわりの強いあの人が納得いく作品を作るためです。彼女には尊い犠牲になってもらいましょう”
”大丈夫!万が一酔っぱらっちゃったら私の家に連れ帰るわ!”
”聞き捨てならない。今すぐあの女を止めろ”
”俺は関係ない”
そんな不吉な会話が聞こえてきた気がしたが、こんな夢みたいな体験をできるのはきっと今回きりだと思い全部一気に飲み干した。
「…っぷはぁ」
「いいじゃんいいじゃん!おし!じゃあそこ座れ!」
残念ながらまだ酔いは回ってこず、天元さんに言われた場所にある椅子を恐る恐ると引き
「…お邪魔します…」
ゆっくりとそこに座った。
椅子に座り顔を上げると
「…ひっ!」
7人分の目が私に向けられており、思わず身が縮こまる。そんな私の前にタイミングよくスッと差し出された、先程の甘くておいしい飲み物を手に取り、再びゴクゴクと勢いよく体内へと流し込む。
「そんな一気に飲んで大丈夫なのかァ?」
「…っはい!だ、大丈夫です!それで!私なんぞが大好きな☆HASHIRA☆の何に役立てるのでしょうか!?」
無駄に勢いよく尋ねると
「そのことについては私から説明させていただきます」
私の右斜め前に座っている胡蝶さんが、経緯を説明してくれるようだ。