第33章 泣き虫鳴柱は長男に甘えたい✳︎炭治郎
「なぁにド派手に人前でイチャついてんだよ」
「仲睦まじいのはいいことだ!だが人前で、ましてやお館様のお庭でそのように振る舞うのはあまり感心出来ることではないな!」
抱き合うすずねと俺の横に、楽しそうな宇髄さんと、腕を組んだ煉獄さんが近づいてくる。
俺は左手はすずねの背中に添えたまま右手のひらを宇髄さんと煉獄さんに見せるようにし
「俺とすずねはそんなんじゃないので」
と、きっぱりと言い放つ。
「確かに!話を聴いた時はよもやと思ったが、こうしてみると兄妹に見えてしまうから不思議だな!」
「本当ですね。そうしている姿はやはり恋人同士と言うよりも、兄妹という言葉の方が相応しく見えます」
煉獄さんの言葉に同意するようにしのぶさんがそう言い
「炭治郎君ったらずるいわ!私もすずねさんに、そんな風に甘えられたい!」
甘露寺さんがそう言いながら、すずねと俺、両方いっぺんに包み込むように腕をバッと広げ
「グエッ」「…ヴッ」
強く、それはもう力強く抱き込んでくれた。
…なんて…強い力なんだ…!
苦しすぎて声を出すことも出来ない。
そんな俺たちの様子をみかねた煉獄さんが
「甘露寺!竈門少年はともかく、柏木さんが潰れてしまいそうだ!腕の力を緩めてあげなさい!」
そう言うと
「やだやだ!私ったらつい!すみませんすみません!」
慌てた様子で甘露寺さんが腕を解いてくれた。
「っふはぁ」
目の前にいるすずねが苦しげに深呼吸をし、何度かそれを繰り返し呼吸を整えた後
「…ありがとう…炭兄」
ふにゃりと可愛らしい笑みを浮かべ俺にそう言った。