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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第33章 泣き虫鳴柱は長男に甘えたい✳︎炭治郎


「…っお前らなァァア」


目の前にいる不死川さんの額に、濃い青筋が浮かび上がる。


「まぁ俺も嫁たちには心も身体も支えられてっからなぁ…柱として隊士を引っ張らなきゃならねぇって言うのは全面的に同意するが、別に柏木が竈門に甘えようが泣きつこうが地味に好きにしろってやつだな!竈門が自分よりも年下だって思ってたのは派手に面白ぇがな!」

「宇髄!何テメェまで甘っちょろいことを…!」


不死川さんが宇髄さんに食ってかかろうとしたその時


「「お館様のおなりです」」


お館様のご息女のその声で、不死川さん、宇髄さん、しのぶさん、甘露寺さん、そして俺の腕をサッと引いてくれた煉獄さん、もちろんすずねの7人が横一列になり


「おはよう皆。急な会議にも関わらず、集まってくれてありがとう」


お館様の前に跪いた。そして


「えぇっと…お館様におかれましても御壮健で何よりです!益々のご多幸を切にお祈り申し上げますっ!」


甘露寺さんの挨拶を皮切りに、臨時の柱合会議が滞りなく執り行われた。

会議の間、隣にいるすずねの事が気になりはしたものの、今回の会議は最近の禰󠄀豆子の様子を伝えるという俺にとっては重要なものであり


…とにかく今は会議に集中しよう!


自分にそう言い聞かせ、自分が伝えるべきことに思考を集中させた。




















会議が終わり、お館様の姿が見えなくなるや否や


"帰る。お前らと話してても時間の無駄だァ"


と言って不死川さんは帰ってしまった。まだまだ言いたいことはあった気もするが、不死川さんの考えを認める事が出来なくても、間違っているとも軽々しく言えない。


…人の持つ価値観や信念は…他人がどうこう言って変えられるものじゃない。でも…もっと不死川さんとも歩み寄れたら嬉しいんだけど


発する匂いからして、厳しくとも性根が優しい事はわかっている。すずねや俺に厳しく言いながらも、不死川さんから弟妹を懐かしむような匂いを感じたことも確かだ。


その優しさをもっと表に出せればいいのに


つい先ほどまで不死川さんが立っていた場所を見ながらそんなことを考えていると


「…炭に…っ…炭治郎君…」


悲しい匂いを見に纏ったすずねが俺の名を呼んだ。

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