第33章 泣き虫鳴柱は長男に甘えたい✳︎炭治郎
「…馬鹿言ってんじゃねェよ!柱ってのはなァ、隊士を引っ張る器がなきゃァならねェんだよ!他人に甘えてグズついてるやつなんざ柱でいる資格なんてねェんだよ!」
「それはそうかもしれません!俺もいつか煉獄さんや冨岡さんのようにみんなの目標になるような柱になれたらと思います!お二人とも、俺とは比べ物にならないくらいすごい人です!でもだからって俺は周りに全く頼らない、善逸や伊之助、もちろん禰󠄀豆子に頼らずに生きていけるとは思いません!」
俺と不死川さんを止めようとしていた煉獄さん、そしてそれを遠巻きに見ている宇髄さん、しのぶさん、甘露寺さんも何も言わずに俺と不死川さんのやりとりをじっと聞いているようだった。
「柱だって、22歳だって関係ありません!俺は、すずねが俺に甘えたいと思っていてくれる限りそれを受け止めます!」
「…っ…炭兄…」
鼻を啜る音が背後から聞こえ、すずねが等々泣き出してしまったことが窺い知れる。
「誰もすずねのその気持ちを否定する資格はありません!」
「…っ!」
俺の勢いに押されたのか、すずねの涙に流石に戸惑ったのか、どちらかはわからなかったが目の前の不死川さんは僅かに怯んだように見えた。
「不死川の言わんとすることは理解できる!だがそれと同等に竈門少年の言うことも理解できる!」
俺と不死川さんの話をじっと聞いていた煉獄さんが、そう言いながら不死川さんの左肩にその右手を、俺の右肩にその左手をポンと置きながらそう言った。
「俺も、甘えるとは少し違うが、同じ柱の君たちのことは頼りに思っている!弟の千寿郎の存在にも支えてもらっている!そのことを恥ずかしいとは思わない!」
「煉獄さん…!」
不死川さんは俺とすずねを庇うような発言をした煉獄さんが気に入らなかったのか、顔を顰めながらその口を開こうとした。けれど
「私も同じです。蝶屋敷で共に暮らすあの子達にどれほど助けられているか…言葉で表現することは難しいですが、あの子達が私を支えてくれていることは間違いありません」
「私も私も!しのぶちゃんや煉獄さん…それに伊黒さんにも…とってもとっても助けられてるの!それが出来なくなるなんて…考えられないわ!」
しのぶさんと甘露寺さんがそう言いながら互いを見合っていた。