第33章 泣き虫鳴柱は長男に甘えたい✳︎炭治郎
自分が今当たっている任務、見回りの予定を考えても、私はその会議に参加が出来てしまう。任務、見回りの振り分けをしているお館様に
”忙しいので参加できません”
などと嘘が言えるはずもなく、参加の旨をパートナーである鴉を介して伝えてもらった。
…きっと…全部ばれちゃうな…
会議の前に会えないかとも思ったが、私の都合も、そして炭兄の都合も会わず、結局なにも言えないまま当日を迎えることになってしまった。
行きたくない
そんなことを考えていれば自然と足は重くなり、一番下っ端なのだからといつも一番早く着くようにしていたのだがお館様のお屋敷着くのも遅くなってしまった。
お館様の屋敷の中庭に足を踏み入れたその時
”あぁぁん!?テメェふざけたこと言いやがって!”
不死川君の威嚇するような声が聞え、足元の玉石を見るように下げていた視線を声のする方へと向けた。
「…っ!!!」
視界に入ってきたその光景に、考えるよりも先に身体が動いた。
初めて会った時、炭兄が私にしてくれたのと同じように様に不死川君と炭兄の間に割って入る。急な私の登場に、目を丸くしながら驚いている不死川君に
「炭兄に…なにしようとしてるの?」
じっと睨むような視線を送った。
「すずね!」
いつものように私を呼ぶ炭兄に、自分もいつもの"炭兄"という呼び方をしてしまっていたことに後から気がついた。
そうなれば
「「「「炭兄?すずね?」」」」
この場にいる私と炭兄以外のみんなが驚くのは当然の反応で
「…え?」
炭兄がその反応に対して戸惑うのも当たり前の反応だった。極め付けが
「柱を呼び捨てにするたァ…お前ェ本当にいい根性してんじゃねぇかァ」
不死川君の確信をつくその言葉だった。
それを聞いた炭兄は
「…………っえぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」
見たこともないような表情で驚いていた。
…当たり前…だよね
「…隠してて…ごめんなさい」
"炭兄に嫌われてしまった"
そう思うと、これ以上痴態を晒すべきじゃないとわかっているのに、目の奥から迫り上がってくる涙を堪えることが出来なかった。