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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第33章 泣き虫鳴柱は長男に甘えたい✳︎炭治郎


そんな和やかともいえる空気を一気に変えたのは


「テメェ…弱ぇ下っ端隊士の分際で、何を楽しく柱と談笑してやがる」


相変わらず俺に向け怒りの匂いを飛ばしてくる不死川さんだった。不死川さんは俺の背中を覗き見るように首を伸ばした後


「…今日はあの醜い鬼はいねぇのか…今日こそ化けの皮引っぺがしてやろうと思ってたんだがァ残念だァ」


そう言って右の手で頭をボリボリと掻いた。禰󠄀豆子を”醜い”と表現するその言葉を受け流すことなんて出来すはずもなく


「禰󠄀豆子は醜くありません!そうやって決めつける不死川さんのものの考えの方がよっぽど醜いと思います!」


当たり前のようにそう言い返した。そうなれば


「あぁぁん!?テメェふざけたこと言いやがって!」


不死川さんが怒り狂うのなんて簡単に想像はついてはいたが、俺も大事な妹を貶されて黙っていられるような性分じゃない。

煉獄さんが不死川さんを宥めようと、俺へとまっすぐ向かってくる不死川さんの方に歩き始めたその時、スッと俺と不死川さんの間に割って入るように見覚えのある小さな背中が飛び込んできた。


「炭兄に…何しようとしてるの?」


いつもと異なる雰囲気で一瞬戸惑ったが、その声も、その姿もよく見知ったもので、正真正銘、俺が知っているすずね本人のものだった。


「すずね!」


こんなところですずねに会えると思っておらず、驚きを含んだ声でその名を呼ぶと


「「「「炭兄?すずね?」」」」


この場に居合わせた、俺とすずね以外の人たちが、声を綺麗に揃え、俺とすずねが互いに呼び合うその呼び方を反芻した。


「…え?」


…俺…何かおかしなこと言ったかな…?


周りから色濃く感じる戸惑いの匂いと、すずねから発せられる罪悪感の匂いに、俺は思わず視線を泳がせる。

そんな俺に向かって投げかけられた


「上官である柱を呼び捨てにするたァ…お前ェ本当にいい根性してんじゃねぇかァ」


という不死川さんの言葉に


はしら…?え…はしらって…"柱"…ん?つまり…すずねが……柱…?


「…………っえぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」


天地が逆さまにひっくり返るほどに驚いた。

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