第32章 迷子の迷子の鬼狩り様✳︎煉獄さん
「…ここか」
叔父はギラギラといやらしい笑みを浮かべた。そして男に掘るように指示すると
「嘘だったら困るから、ちゃんと見つかるまではここにいてもらうよ」
そう言って
「…ちょっ…やめてよ!」
私の腕を強引に掴み
「暴れると痛くしちゃうよぉ?」
そう言いながら後ろ手に縛った。
縛られたまま強引に家に上がらされ、あぁだこうだ言いながら土を掘っている叔父と男をただ見ていることしかできなかった。逃げるにしても、扉には内鍵を掛けられてしまい、そもそもそこに行くのには叔父と男の横を通らなけらばならない。
…死ぬほど悔しい…でも…あれを渡せば古賀さんに迷惑を掛けることもない。お金も…煉獄様のところに行くから…なくったって生きていける
そう自分に言い聞かせ、決して泣くまいと唇を噛みしめただこの苦しい時が終わるのを待った。
そして
「「あった!!!」」
麻袋を見つけた2人は、卑下た笑い方をしながらそれを開き、中にいくら入っているのかを数え出す。
全部数え終えると
「こんなに隠して…すずねちゃんは悪い子だ」
叔父は、そう言いなが自分の持ってきた袋へとお金を詰め始める。その間男は、室内を物色し、何か価値のあるものがないかを探しているようだった。
金を詰め替え終えた叔父が、部屋を物色している男に視線をやると、男は左右に首を振り
「金目のものはありません」
そう言った。
それもその筈。お金になりそうなものは、父と母の形見だけを残し、他は全部お金に換えてしまった。だから私が持っている財産は、あの麻袋に入っていたお金がすべてだった。
「それは困った…実はまだちょっと足りないんだよね…あぁでもひとつだけ価値のありそうなものが残ってた」
「…っそんなものない!あんたが袋に入れた…そのお金で全部!もう私が持ってるものなんて…何一つない!全部奪っておいて…これ以上私から何を奪おうっていうの!?!?」
あまりの怒りにどうにかなってしまいそうだった。怒りで興奮した私を馬鹿にするように告げられた
「何言ってるの?そこにあるじゃない…若い女の身体が」
「…っ…!!!」
その言葉に、私は全てを察した。