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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第30章 2人で初めてのmerryXmas【暖和】


杏寿郎さんは手袋を両手にはめ、拳を握ったり開いたりを繰り返した後


「驚くほどにピッタリだ」


言葉の通り、驚いた表情でそう言った。


「ふふふ…私を誰だと思ってるんです?杏寿郎さんを世界一愛してる妻ですよ?手の大きさを把握することくらい朝飯前です」


お道化ながら私がそう言うと


「…すずねに世界一愛していると言われるとは…俺は世界で一番の幸せ者だ」


杏寿郎さんは私の身体をぐっと引き寄せ


「俺も…君のことを世界で一番愛している」


苦しいほどにギュッと抱きしめながらそう言った。



それから杏寿郎さんにネックレスの箱をもらい、”結婚指輪を買ったあのお店で購入したんですか?”と尋ねると、なんとわざわざオーダーメイドしたのだと教えてくれた。

主張の激し過ぎない大きさのそれは本当に私好みのもので、杏寿郎さんと過ごす初めてのクリスマスプレゼントとしてもらったこのガーネットのネックレスは、私の生涯の宝物となった。


今日はクリスマスイブ!だからいいだろう!?


と、杏寿郎さんに押しに押され、恥ずかしい気持ちをぐっとこらえ2人で仲良くお風呂に入った。お酒の全く入っていない、そして事後の疲れ切って放り込まれる以外の状況でこうして2人でお風呂に入るのはたまらなく恥ずかしいものがあったが、それでも今日は私と杏寿郎さんが過ごす”初めてのクリスマスイブだから”と思うと、羞恥心よりも幸福感のほうが圧倒的に上回った。

お風呂を出て、互いに乾かしあいっこをした後は大人の時間が訪れる。


「赤ワインとロゼのスパークリングワイン、どちらにします?」


冷蔵庫の中を覗き込みながら私がそう尋ねると


「すずねはロゼスパークリングのほうが好きだろう?先にそちらを開けよう」


と、ワイングラスを持った杏寿郎さんが、私の頭頂部に顎を軽く乗せるようにしながら、私と同じように冷蔵庫を覗き込んだ。


「やった!ありがとうございます」


冷蔵庫からロゼスパークリングのワインを取り出し、扉をパタンと閉める。

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