第30章 2人で初めてのmerryXmas【暖和】
寝室に来た時と同じように慌ただしくリビングまで戻ると
「…気に入ってもらえただろうか?」
杏寿郎さんが私に恥ずかしげな笑みを浮かべながらそう尋ねてきた。そのままスピードを緩めず杏寿郎さんの元まで向かい、自画自賛したくなるような鮮やかな手裁きでカウンターキッチンに一旦杏寿郎さんへのプレゼントが入った紙袋を置くと
「…っ杏寿郎さん!」
愛おしいその名を呼びながら
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅ
と、逞しい身体に強く抱き着いた。
そんな私を、杏寿郎さんも当然のように抱き返してくれる。
「その反応は、気に入ったと解釈してもいいんだな?」
大きな右手のひらで私の頭を撫で、杏寿郎さんがそう尋ねてくる。私は杏寿郎さんの身体にめり込まんばかりに強く、強く抱きつきながら
「…言葉にできないくらい…嬉しいです」
「そうか。それは良かった」
そう答え
「…ありがとうございます」
更にこれ以上がないという程の強い力で杏寿郎さんに抱きついた。
しばらく黙ってそうしていたが
「…そろそろ、あの紙袋の中身を知りたいんだが」
杏寿郎さんに物凄く申し訳なさそうな声色で言われてしまう。
「…っすみません!つい…嬉しすぎて…!」
そう言いながら慌てて杏寿郎さんから離れると
「わはは!それ程気に入ってもらえたとあらば夫として嬉しい限りだ!」
杏寿郎さんはそれはもう嬉しそうな表情でそう言った。慌てて杏寿郎さんから離れ、先ほどカウンターの上に置いた紙袋を手に取った私に
「洗い物は済ませた。あちらでゆっくりと受け取ってもいいだろうか?」
と、杏寿郎さんがテーブルの視線をやりながら言った。
「はい!じゃあ行きましょう!」
杏寿郎さんの手を取り、グイグイと引っ張りながら移動し
「はい!じゃあここに座って待っていてください」
「わかった」
半ば無理やり杏寿郎さんを座らせる。