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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第30章 2人で初めてのmerryXmas【暖和】


名残惜しさを感じながらも密着させていた身体を一旦離し、改めてフォークを持ち直した杏寿郎さんと私は


「「いただきます!」」


可愛らしく装飾された甘い匂いがする切り株を一口口に含み


「美味い!」「美味しーい!」


二人で食べる初めてのクリスマスケーキに舌鼓を打った。










食べきれるか不安に思っていたケーキだが、その見た目に反しクリームは軽やかで飽きが来ず、スポンジもふわふわであっという間に食べられてしまった。

使ったフォークとお皿(お皿はただ出しただけで、厳密にいえば使わなかったのだが)、それからマグカップをシンクで洗っていると


「すずね」

「どうしました?」


トイレに行くと言ってリビングを出て行った杏寿郎さんがいつの間にか戻って来ていた。


…面倒だけど、これだけ洗っちゃいたい


そう思いながらマグカップに泡のついたスポンジを滑らせていると


「メリークリスマス」


その言葉とともに、フッと首に何かの気配を感じた。慌てて視線を下に向けるもその姿が確認できず


「…っ杏寿郎さん…これ…なんですか?」


そう尋ねる。


「知りたければ、鏡で確認してくるといい」

「えぇ!?そんな…もう!」


洗い物はまだ途中なのだが、手についた泡を落とし、適当にタオルで水をふき取ると


「戻ったらやるのでそのままにしておいてください!」


そう言いながら、一番近くに鏡がある場所…洗面所へと走った。

電気をつけ、慌てて鏡の中に映った自分の首元を確認すると


「…っ…これ…」


杏寿郎さんと私の結婚指輪にあしらわれたものと同じ、ガーネットのネックレスがそこにあった。


…チェーンの色も…同じだ


そのことから、このガーネットのネックレスが、あの結婚指輪を購入したお店で作ったものだと察しがついた。

そのまま電気も消さずに寝室に向かい、慌ただしくその扉を開くと、クローゼットの奥のほうに隠していた杏寿郎さんのプレゼントが入った紙袋を手に取った。

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