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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第28章 雨降って愛深まる✳︎煉獄さん※裏表現有


「どうかされましたか?」


振り返り、座っているため私よりも視線が低いところにある杏寿郎さんのお顔を覗き込もうとするも、クイっと優しく腕を引っ張られ


ポスン


正座から胡座へと姿勢を変えていた杏寿郎さんの脚の間へと座らされた。そのまま背後から強く抱きしめられ杏寿郎さんは


すぅぅぅぅ


と、私の首筋と着物の境目を深めに嗅いだ。


…っそれは…流石に…!


「…あ…あの…杏寿郎さん…」

「…なんだ?」


そのままでは喋りにくいせいか、杏寿郎さんの顔が私の首筋から離れて行き、ホッと一安心する。ちらりと杏寿郎さんの方を振り返り


「…いくら何でも…嗅がれるのはちょっと…」


控えめに抗議の意を示すも


「すまない…だが、すずねの匂いを嗅ぐととても落ち着くんだ。許してほしい」


そんな風に言われてしまえば


「…もう…仕方がないですね…」


恥ずかしさ以上に、そうさせてあげたいと思ってしまう。


…杏寿郎さん…こんな甘えん坊な部分もあったんだな…


そんなことを考えながら、私の胴体にしっかりと絡みつく逞しい腕に手を重ねた。








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その日の午後。


数時間後には担当地区の見回りに行く杏寿郎さんの夜食用に、おにぎりを握っていると


”ごめんください!”


玄関の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


…この声は…


慌てて手を洗い、気持ち程度に手を拭いた私は、玄関へと急ぎ向かった。











玄関に近づくにつれて聞こえてくる杏寿郎さんと訪問者の方の声に、その訪問者の正体が甘露寺様であることに確証を抱く。

廊下を曲がり玄関が見え、杏寿郎さんと甘露寺様が話している姿が目に入る。昨日甘味屋から出てきた二人を見たときは、ドロドロとした汚い感情が胸の中に渦を巻いていたのに、今はもう至近距離で話す姿を見ても、少しもそんな風にはならなかった。


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