第28章 雨降って愛深まる✳︎煉獄さん※裏表現有
…だめ!杏寿郎様の人を守る大事な手を…噛むことなんて出来ない…!
杏寿郎様の指を傷つけないよう口の力を抜けば必然的に堪えていた声は漏れ出てしまい
「…あ…ん…ふぅ…は…っ…」
「…もっと…その声を…聞かせてくれ…!」
早速我慢などできなくなってしまう。
そのまま激しく腰を打ちつけられ
「…っ…や…まっ…て…だ…めぇ…!」
あっという間に高みの目前まで引き上げられた私は
「…気をやりそう…なんだろ?…俺も…もう…出す…!」
あっけなく
「…あ…やぁ…んっ…は…っんぁぁぁあ!」
「……クッ…」
離縁を決めた夫に絶頂へと導かれ、その子種が私の中を満たしていくのを感じさせられてしまうのだった。
欲を出した杏寿郎様は、私の顔の横に付いていた腕の力を抜き、私の身体にその大きな身体を乗せてくる。
「…っ…重い…」
筋骨隆々の杏寿郎様の身体がのしかかってくれば、当然重く苦しいわけで、うめき声に近い声を上げながら私がそういうも、杏寿郎様は身体をどかすどころか
ぎゅぅぅぅぅぅっ
無言のままものすごい力で私の身体を抱きしめてくる。
不貞を疑われ、半ば無理矢理抱かれ、妻である私以外の女性に想いを寄せているはずなのに、私を抱きしめてくるその腕が
どこにも行かないでくれ
そんなふうに訴えかけてきているようで勘違いしてしまいそうになる。
「…離して…退いてください…」
もうあんな風に惨めな気持ちになりたくないの。
その一心で、懸命に杏寿郎様の身体を押しのけようとするも、まるで大きな岩のように全く動く気配がない。
「…っ退いてください!」
「嫌だ」
やっと言葉を発したと思えば"嫌だ"のたった一言。馬鹿にしているようなその態度に腹が立って仕方なかった。