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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第28章 雨降って愛深まる✳︎煉獄さん※裏表現有


「俺は貴方を手放すつもりなど毛頭ない。あの男の元へは行かせない。離縁など認めない」


杏寿郎様は捲し立てるようにそう言いながら両手で押さえ込んでいた私の手を左手に纏め、空いた右手で私の着物の合わせを開き始めた。


「…やだ!…こんな明るい時間から湯浴みもせずに…それに…杏寿郎様は……」


"甘露寺様のことがお好きなんでしょう?"


喉元までその言葉が上がってきてはいたが、それを口に出すことがどうにも辛くそれ以上言葉にすることが出来なかった。


「聞こえないな」


そう返事をしている時点で聞こえている事は明白なのに、杏寿郎様はそう言いながら更に私の着衣を乱し長襦袢の中に手を差し入れ、私の胸の飾りを早急に弄り始めた。


「…やっ…杏寿郎様!…っ…やめて下さい…!」


甘露寺のことが好きなくせに
私のことなんて好きじゃないくせに
義務感や責任感で
側に置いてくれているだけのくせに


…どうして抱こうとするの…?


杏寿郎様は私の首筋に顔を埋めると


ぢゅぅぅう


「…痛…っ」


ものすごく強い力でそこに吸い付いた。その力は口で吸っていると思えない程の強さで、つねられているのではないかと思ってしまうような痛みを感じた。


ちゅっ


杏寿郎様はわざと音を聞かせるようにそこから離れると


「…色濃くついたな。これであの男に会おうとも、外に行こうとも思うまい」


そう言って、私の胸元から手を引き抜き、先ほどまで杏寿郎様が吸い付いていた場所をそっと撫でた。

相変わらず勝手な勘違いをしている杏寿郎様に腹が立ち


「…っ私は!あの殿方に会うつもりなど元々ありません!」


半ば怒鳴りつけるように杏寿郎様にそう言った。


「では再び聞こう。あの男は貴方のなんだ」


そう言って杏寿郎様は再び鼻と鼻がくっついてしまうほどの至近距離で私の目を見つめ、街でされたのと同じ質問を私に投げかけてくる。



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