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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん


俺の行動がよほど意外だったのか、すずねは目を丸くし黙って俺のそれを凝視している。そんなすずねの左頬に右手で触れ


「…しょぼくれた顔すんな。週末、また会えんだろ?」


明日はすずねは講義が、俺は仕事がある。だから今日は連絡先だけ交換し、また週末に会おうと約束したばかりだ。その時は不満そうな顔をしながらも素直に頷いてくれたんだが、実際に別れの時間が来てそうしたくなくなったんだろう。そんな様子を面倒くさいとも、煩わしいとも思わない。ただ自分とまだ一緒にいたいと思ってくれるその気持ちが嬉しかった。


俺にしては優しい声色でそういうと、すずねは見開いていた目を細め、甘えるように俺の顔をじっと見てくる。そして


「…もっと…濃厚なのがいいです…」

「…っ…」


破壊力満点の言葉をぶっこんで来た。



このままホテルまで車を走らせてすずねを抱きてェ



今にも頭を支配しそうな雄の欲望をじっと抑え込み


「…煽んなよ馬鹿がァ。…同居人が家で待ってんだろ?挨拶に行くから週末までにちゃんと説明しておけや。俺も、家族にお前のこと説明しとくからよォ…弟や妹達…それから母ちゃんにも、会ってやって欲しい」


すずねから視線を逸らし、頬に触れていた手を頭へと移しポンポンと軽く2回叩いた。


「…っ会います!絶対に!実弥さんのご家族に気に入ってもらえるように、新しい服買いに行かなきゃ!」

「んなもんいらねェよ。わかったらもう部屋に行け。俺も、いつまでもこの姿勢は辛ェし、教師が路駐で警察に声掛けられる訳にはいかねェからな」

「そうですね…寂しいですけど…もう行きます」


すずねのその言葉に、俺は身体を運転席の方へ戻し、シートベルトを装着する。その間にすずねは助手席のドアを開き、車から降りた。助手席の扉が

バタン

と閉められてのを確認し、そちら側の窓を開けると


「電話、毎日掛けてもいいですか?」


すずねにそう尋ねられる。


「…短時間な。俺ァ電話苦手なんだよ」

「寝る前に…5分…うぅん。3分でいいです。実弥さんの声を聞いてから…寝たいんです」

「…わかった。仕事で遅くなったり、風呂入ってる時もあるからな。掛ける前に連絡寄越せよォ?」

「はい」


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