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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん


「「………」」




互いに、この時間が終わってしまうことに名残惜しさを感じていることが手に取るように分かった。だが、俺たち二人のこれからの時間を阻むものはもう何もない。鬼のいない、命の期限が決められていない、平和なこの世界で。俺とすずねはまた共に生きることが出来る。




俺たちを隔てる壁は存在しない。




「じゃ、もう行くぞォ」


俺が行かなけりゃきっとすずねは動かないと思い至り、サイドブレーキを解き、シフトレバーを”D”に合わせた。


「…はい。実弥さん…気を付けて帰ってくださいね」

「わかってらァ」

「おやすみなさい。…今までも、これからもずっと…愛してますよ」


最後にそう言って俺に笑いかけるすずねに、相変わらずな奴だと思いながら


「…お前は永遠に俺のもんだからなァ。溺れるくれェこれからたんまり愛してやるよ」

「…っ!?!?」

「じゃあなァ」


柄にもない歯の浮くようなセリフを言い捨て、俺は車を発進させた。












【永遠にあなたのもの】

あの時あの櫛に込めたのは
”体が朽ち果てようとも俺の心は”お前のもの”
そんな思いと
あの溢れんばかりの愛が
”他の男のものになんてならないように”
そんな呪いにも似た思いだった。
それを知ったらあいつは幻滅すっかな。
いや…んなことあり得ねェか。
きっと
”実弥さんってば私の事大好きなんだから!”
なんて喜んじまうに決まってる。















数メートル車を走らせ、バックミラーでちらりとすずねの様子を伺うと、頬を自分の手で覆いながらその場でしゃがみこんでいた。


「…2年…待てねェかもなァ…」


そんな独り言を言いながら、ニヤケる口元を左手で覆い隠し弟妹達、そして母ちゃんが待つ家へと車を走らせた。






















この先何があろうども
二度とお前の手を放しはしない。
























-完-




~Special thanks for 栗鼠侍様~



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