第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
「なんか…実弥さん口うるさい先生みたい…」
不貞腐れたようにそう言いながらすずねはドスンと椅子に座った。
「先生みてェっつゥか俺は正真正銘の教師だァ」
俺がそう言うと
ガタァン!
すずねは再び椅子を倒さんばかりの勢いで立ち上がった。
「え!?実弥さんが教師!?え!?"不死川先生"って呼べるの!?あ、でも実弥先生なんて呼ぶのも…やだぁ!背徳の香りがするぅ!」
「…お前ェはよォ…」
平和な世で生きているせいか、もしくは前世の時よりかすずねと俺の年齢が離れたせいか、すずねの頓珍漢さがよりパワーアップしているような気もしなくはないが、すずねが何かの脅威に晒される事なく平和に生きてこれた証拠だろうと思うことにした。
「ちなみに実弥さん何の教科を担当してるんですか!?やっぱり体育ですか!?体育教師の実弥さん…キャッ…素敵!」
「すずね…なんかかなり振り切ってるな…」
馬鹿な妄想でもしてんのか、自身の頬を両手のひらで包み、クネクネとしているすずねの事を苦笑いを浮かべたおじさんが若干引いた様子で見ている。
…気持ち…わかるわァ
そんな風に思う一方で、やはり可愛いと思う気持ちはどうにも拭えない。
「つぅか俺ァ体育教師じゃねェよ」
「え?じゃあ何です?他に…ピンとくるものないんですけど」
すずねはそう言って顎に手を当てながら首をかしげる。
「俺は数学担当だァ」
「…っ数学!?」
すずねの声は明らか嫌そうなそれを含んでおり
「なんだァ!?文句あっかァ!?俺ァ数学を蔑ろにする奴ァ許せねェんだがよォ…」
そう言いながらすずねをギロリと睨みつけると
「っ好きです!大大大得意です!」
そう大慌てな様子で言った。だが誰が見てもすずねが嘘をついているのは明白で
「すずね、嘘はダメだよ?おじさん、毎回すずねが数学のテストで赤点ギリギリで困ってるってお父さんから何度も聞いたことあるよ?」
「やだもう!おじさんったら…余計なこと言って!私の味方じゃないの!?」
あっという間にそんな嘘は暴かれちまったようだ(聞かずとも嘘なのはわかっていたが)。