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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん


そして返ってきたのが先ほどの言葉だ。


…なんだか気が抜けちまったぜ


そんな事を考えながら、従業員が休憩する用の小さめの部屋で、花屋らしくジャスミンティーなんて洒落たものを、これまた花柄の可愛らしいティーカップで飲んでいた。


…だが俺の好みの味じゃねぇな。花なんて小洒落たもん食う機会なんざねぇし…普通の緑茶のが性に合う。


そんな事を考えながら、ティーカップにまだ半分ほど残っているジャスミンティーをじっと見ていると


「でしょでしょ?おじさんもそう思うでしょ?もう私…今までの22年が一気に霞んじゃう位、実弥さんと再会できた今日が幸せ!」

「…22だァ!?」


すずねの"今までの22年"と言う言葉が引っかかり、俺は呑気にティーカップに向けていた視線をすずねへと向けた。

そんな俺の様子に


「…はい。私…22歳の大学4年生ですが…何か問題ありますか?」


頭にでかい疑問符をこさえたすずねが首を傾げながらそう尋ねてきた。


「22歳で大学4年だァ!?」

「はい!まだギリギリ女子大生です!いい響きでしょ?」


すずねはニッコリと嬉しそうに言った。


「だったらまだ結婚は保留だァ」


俺がそう言うと


「…っやだ!どうしてですか!?」


すずねはガタンと大きな音を立てながら椅子から立ち上がった。

思わぬ結婚の保留に、相当悲しかったのかすずねはこれでもかと言うほど眉の端を下げに下げ俺の目を縋るように見ている。


「…お前、大学4年ってことは、就職決まってんだろォ?」


俺のその言葉に、すずねは

ギクリ

とはっきりと背後に文字が浮かんできそうなほどの動揺っぷりを見せた。


「だったらやっぱり結婚は保留だァ。最低3年…いや2年でいいからきちんと社会に出て働けェ」

「…え…2年も実弥さんと結婚できないの…?」


不安げに俺を見つめるすずねに僅かに心が揺らぎそうになる。それでも


「新入社員が結婚してるなんざ印象悪ィだろォ?お前の立場を守るためでもあるんだァ。2年位ェ我慢しろォ」


すずねに、そして自分自身に言い聞かせるようにそう言った。






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