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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん


店主の言葉からこのいい感じの髭が生えたイケオジがすずねのおじさんであることは察しがついた。だからこそ、すずねを再び嫁に迎え入れることを決意しているからこそ、こんな痴態をいつまでも晒しているわけにはいかない。

グイグイとすずねの頭を押し、離そうとすればするほど


…こんの…馬鹿力がァ!


火事場の馬鹿力とでもいうのか、より一層強い力で俺に抱き着いて来る。更にだ


「…っ実弥さん!私…今世でも…実弥さんと一緒にいたいです!…っだからお願いです!今すぐ私を奥さんにもらってくださいっ!」

「…っお前ェはよォ!!!」


一番言われたくないと思っていた言葉を、あっさりと言われてしまった。

すずねのおじさんの手前、普段の言葉遣いも、昔のこいつとの夫婦関係もいったん忘れ、常識的な振る舞いをしようと思っていたのに。そして何よりも


「なァに人がちゃんとプロポーズしようと考えてたのあっさりぶち壊してくれてんだァ!?」


前の世では、あれもこれもどれも、すずねに引っ張られるように決めてきた。だから今世では、俺から気持ちを伝え、プロポーズをしようと思っていた。


「少っっっしも変わってねェなァ!?!?」


そう言ってとうとうその丸い頭を両手で鷲掴みにし、俺の胸に埋めていた顔を無理やり上げさせる。すると、ウルウルと瞳を涙で輝かせながら


「だってだってぇ…おちおちしてたらまた実弥さんいなくなっちゃうかもしれないもん!1分1秒だって…っ…無駄にしたくありません!」


そう言いながら俺に頭を鷲掴みにされたままの状態で、今度は俺の首にその腕を回してきた。

その様子から、すずねが記憶を取り戻したばかりで、過去と今がごちゃ混ぜになってしまっていることがうかがい知れた。


…格好はつかねェし…人が見ちゃいるが仕方ねェ


「…すずね」


混乱し、興奮しているすずねを落ち着かせるように、静かにその愛おしい名を呼ぶ。


「……はい」


俺の言葉に、すずねは先ほどより僅かに落ち着いた様子を見せた。



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