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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん


そんな様子にどうしようもない愛おしさを感じながらも


「…あんま鼻水つけんなよォ?」


揶揄うようにそう言いながらその背中を弟や妹たちにするときと同じように優しく叩いた。そんなことをしていると、先ほどまですずねがいたと思われるバックヤードの方からバタバタとした足音が聞こえ


…こんな姿見られちまうのはさすがにやべェな


名残惜しくはあったが、すずねの背中に回していた腕をとき、その身体を引きはがそうと試みた。だが”どこからそんな力が出てくるんだ?”と聞きたくなるほどの力で、すずねが引きはがそうとしている俺の力に対抗してくる。


「…っおい!人が来んだろ!?いったん離れろ!」


背中に回っている腕を掴み、なんとかそれをとこうとするものの


「…っ嫌です!無理です!もう…絶対離れません!」


そう言って頑なに俺から離れて行こうとしない。


「っ馬鹿がァ!お前仕事中に男とこんなんしてるの見られたら仕事クビになんぞ!?」


本当はもっとこうしていたいと、俺自身も思っていた。だがすずねの為を思って心を鬼にしそう言った。なのに


「…っ実弥さんの…"馬鹿がァ"…もっと…もっと…っ…聞かせてください…」


完全に変なスイッチが入っちまったらしいすずねは全く話が通じる様子がなく、頓珍漢な発言をしながら更に俺に縋りついてくる。


…だめだァこりゃ


右手を額に当てがっくりと項垂れながら、これからこの姿を目にするであろう店の人間への言い訳を考える他なかった。

そして


「…っすずね!?お客様に何してるんだ!?ん?…泣いてる!?…いったいこの短時間に何があったんだ!?おじさんに教えてぇぇえ!?」


バックヤードから現れたこの店の店主と思わしき40代半ばくらいの男性が、非常に混乱した様子で叫んでいる。


「…仕事の邪魔して…すみません」


俺は仕方なくすずねをひっつけたまま現れた男性に頭を下げた。チラリと見えた胸元のバッチには、しっかりと"SHOP OWNER"と書かれている。



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