第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
”花”というキーワード。そして 玄弥も知っている気がするという相手。
すずねかもしれない。
そう思い、胸がざわざわと大きく騒ぎ出す。けれども
…いや待て。玄弥とすずねはほとんど顔を合わせたことがないと…すずねは言ってた。俺の…思い過ごしかもしれない。
頭の中の冷静な部分が、その結論に至ることに待ったをかけた。ゆっくりと呼吸をし、自分の心に落ち着くように言い聞かせながら
「どうして…そう思ったァ…?」
玄弥にそう尋ねた。俺の問いに玄弥は暫く考える素振りを見せた後
「…上手く言えないんだ…でも、あの人の事を…ずっと知っているような…そんな気がしたんだ。それにあの人…最後、綺麗な白髪の親戚がいないかって…そう聞いて来たんだ。だから…って兄ちゃん!」
玄弥の言葉を全て聞き終える前に
バシーン!!!!
乱暴にドアを開け、外に飛び出した。
…間違いない!玄弥が会ったのは…すずねだ…っ!
外に飛び出し、花屋めがけて走り出そうとしたときにふと気が付いた。
「…っ場所知らねェ!!!!!」
大馬鹿野郎な自分に向けそう言っていると
「兄ちゃん!」
右手に紙を持った玄弥が家の中から靴も履かずに飛び出してきた。その手に持たれているものがなんなのか察しがつき、俺も玄弥へと駆け寄った。
「…っ花屋のチラシ!ここに地図がある!8時には閉店だって書いてあるから急いで!」
玄弥はそう言いながら、俺に押し付けるようにそのチラシを渡してきた。
「…サンキューな!…だがお前ェすずねとは面識ねェはずだろォ?なんであいつの事…わかんだァ?」
「俺もそんなんわかんねぇよ!でも…なんとなく……知ってる気がしたんだ。…っそんなことよりも!今は早く店に行ったほうがいいって!」
玄弥の言葉に左腕につけている時計を確認すると、その針は
7時20分
を示していた。
「…っ行ってくらァ!悪ィが母ちゃんには適当に言い訳しといてくれ!」
そう言いながら花屋のある方角へと走り始めた。
「いってらっしゃい兄ちゃん!気をつけて!」
「わかってらァ!」