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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん


「違うよ!歩いて15分くらいの場所に、新しく花屋さんがオープンしたんだ!」

「花屋だァ?いつ頃の話だよ」

「1週間前くらいだったかな?ポストにチラシも入ってたよ」


そんな会話を玄関で繰り広げていると


ガチャ


「「ただいまぁ」」


手にかわいらしい小ぶりな花束を持った貞子と


「あれ?兄ちゃん珍しく早いね」


玄弥が花屋から丁度戻ってきた。


「おう。たまにはな」

「…そっか」


俺と玄弥はそう言って微かに笑いあった。


玄弥もつい最近、俺に引っ張られるように前世での記憶を取り戻した。弟達が見ているのにも関わらず、でかい図体で俺に抱き着いてわんわん泣いてる姿に、思わず苦笑いが浮かんだし、弟たちは頭にでかい疑問符をこさえているのが手に取るように分かった。

失った家族も、嘗て共に戦った仲間も取り戻した。


でも、一番大切なものが足りない。


でかい溜息をつきそうになるのをグッとこらえ、混み合っている玄関からどこうと革靴に手を掛けた。


「聞いてよ実弥兄ちゃん!さっき、玄弥兄ちゃんっでば、新しくできた花屋の店員さんに逆ナンパされてたんだよぉ!」

「…逆ナンだァ…?」


制服の玄弥を逆ナンするなんざ、碌な店員じゃねぇ。


そう思いながら、なんの罪もない玄弥を(まだまだ可愛い妹の口から逆ナンパというワードを引き出したという点については罪はあるが)ギロリと下から睨みつけた。


「っち…違うって!」


俺に睨まれた玄弥は、両手のひらを前に突き出し、俺と物理的な距離を取ろうとしながら


「最初は確かに逆ナンかな…って俺も思ったんだけど、あの人、そんな感じじゃなかった!…それに…」


そう言って慌てた表情から真剣な表情へとフッと変わり、何かを考えるようにその口を閉じ、眉間に皺を寄せた。


「…それになんだァ?」


言葉の続きが気になり、俺が玄弥にそう声を掛けると、玄弥は戸惑った様子を見せながら俺と視線を合わせてきた。そして


「…俺も…あの人の事…知ってる気がするんだ」


そう言った。その言葉に


ドクリ


俺の心臓が大きく波打った。


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