第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
「馬鹿やめろ。午後も授業あんだろ?お前がそんなイライラしてっとお前さんのかわいい生徒たちがビビっちまうぜ?」
「…んなん言われなくってもわかってらァ…」
仕事を投げ出し、今すぐ探しに行きたいと思う衝動をぐっと抑え、ぎゅっと両掌を強く握りしめた。
「俺もな、お前が記憶を取り戻したときにすぐ引き合わせられるように柏木のことはずっと探してんだ。だが高校生の頃、何らかの理由で急な引っ越しをしたってところ以降情報が掴めねえ」
宇髄のその言葉に、俺は床に向けていた視線を宇髄へと向けた。
「過去と現在。ほとんどの奴らが因果で繋がってる。記憶を取り戻すきっかけも、過去との繋がりがあるもんがきっかけだ。ちなみに俺はガキの頃よんだ忍の漫画」
「…忍の漫画だァ?随分と身近なもんで羨ましいぜェ…」
「忍ってのはどの時代でもガキの憧れの対象なんだぜ!派手で羨ましいだろう!で、お前は何がきっかけだったわけ?」
宇髄に聞かれ、自分の恥ずかしい過去を晒すようで話すのに一瞬躊躇した。だが、こいつの協力があった方がすずねを探し出す近道に繋がることは明白で
「ホトトギスの花」
俺は聞き取れるか聞き取れないか際どい声量でそう呟いた。
「…成程な」
その返事に、俺があの時すずねへと残した櫛が、あいつの手にきちんと渡った事を窺い知る事ができた。
「なぁ…」
俺がいなくなったなった後、すずねが、そして壱弥がどんな生活を送っていたのか聞きたいと思った。けれども
…いや。すずねを見つけて…本人の口から聞きゃいい
そう思い
「やっぱなんでも無ェ」
「あっそ」
やはり聞くのをやめた。柄にもなく願をかけるようなそんな思いもあったのかもしれない。
「うし!今日はお前の記憶が戻った祝いに、派手に飲みまくろうぜ!他の奴らにも声掛けとくからよ!逃げんなよ?」
「あ"ぁん!?誰が逃げるだァ!?…つうか他の奴って誰だァ?冨岡か?伊黒か?」
俺がそう聞くと、宇髄はニヤリとイラつくような顔をした後
「不死川が一番の寝坊助ちゃんだぜ。その意味わかんな?」
そう言って俺の肩にそのぶっとい腕を回してきた。
「…チッ…くそがァ…」