第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
そして俺は、壱弥の隣で、すずねと、共に死線をくぐってきた相棒のふたりに見守られ
”おやすみなさい。実弥さん"
昔の俺じゃ想像すらできない、幸せであったけぇ何かに包まれながら眠りの刻を迎えた。
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「なぁ宇髄…」
「誰かと思えば不死川じゃん。お前から俺んとこ来るなんざ珍しいこともあんのな。あ、何?この派手な俺に折り入って相談したいことがあるとか言っちゃうわけ?」
昼休み、俺は昼飯を食うのを早々に終わらせ、いつも職員室じゃなく、自分の秘密基地みたいな扱いをしている美術準備室に籠っている宇髄に会いに来ていた。
購買で買ってきたらしきでかいイチゴジャムのコッペパンにかぶりついている宇髄に
「お前…前世とか、過去の記憶とか…信じるかァ?」
俺は恐る恐るそう尋ねた。すると宇随は、イチゴジャムコッペパンに向けていた視線をバッと俺のほうに向け
「何だお前?やっとこさ昔のこと思い出したのか?」
呆れたような表情を浮かべながらそう言った。
「…っお前は!いつ昔のことを思い出したんだァ!?どうして俺にその事を教えなかったァ!?」
宇髄の胸倉をつかみそう詰め寄る俺に
「んな怒んなって。仕方ねえだろ?過去の記憶を無理やり思い出させようとすれば、今の時代を生きるその身体にどんな影響が出るかわかんねぇんだ。下手なことすんなって、先に記憶を取り戻した奴らからのお達しなんだよ」
宇髄は一切怯む様子を見せることなくそう言った。俺は宇髄の胸倉を掴んでいた手を放し、宇髄が腰かけているソファの空いているスペースにドスンと座り、頭を抱えた。
「…クソッ…!」
今すぐ迎えに行きたい。
あの馬鹿みたいに明るい笑顔を
この目で拝みたい。
今度こそもっと
たくさんの時間を共に過ごしたい
「…すずね…!」
今まで感じたことのないような焦燥感に襲われ、頭をバリバリと激しく搔きむしった。