第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
子どもが産まれる前に、宇髄の家で飲み会だかなんだかよくわかんねぇ集まりをした時、竈門に
"どうして不死川さんはすずねさんと夫婦になろうと決めたんですか?"
そう聞かれた。竈門が俺にどうしてそんなことを聞くかなんて、考えるまでもなくすぐにわかった。
…こいつも、俺や冨岡と同じだもんな。
他人の話を聞いたり、ましてや助言をする事は得意じゃねえ。だが、この件に関しては、この件に関してだけは、きちんと話してやらなきゃならねえと、そう思った。
"俺はなァ、最初はあいつの気持ちを受け入れるつもりなんざなかった。わかんだろ?自分が後数年で死ぬのわかってて、誰かと一緒に生きようなんて、そんな無責任な事出来るはずがねぇ。だがよォ、あんまりにもあいつが俺と一緒にいてぇって。俺に幸せになってほしいって。何度も何度もしつこく言ってくるからよォ…そうしても良いんじゃねェかって…思えちまったんだよ。すげェ女だよあいつは。お前もなァ、もし胡蝶の継子が…栗花落がそうしてェって言ったんなら、男らしくそれを受け止めてやれェ。短ェ時間で、もう腹一杯だって思っちまうほどの幸せを…好きな女と一緒に味わえ。お前にも、その権利があんだからよォ。お前も…自分の人生を諦めんじゃねェ"
かつて、唯一心を許した兄弟子であり友がくれた言葉を、俺はこの融通の効かねえ頭でっかちに送ってやった。
そのあと竈門と栗花落が恋仲になって、すぐに結婚したらしいとすずねがすげえ嬉しそうに言って来たのを
"そうかよォ"
興味なさそうな返事をしながらも、心ん中で
よくやったじゃねェか
なんて柄にもなく思っちまったことは、流石にすずねにも言えやしねェ。