第27章 お前の未来、俺が全て貰い受ける✳︎不死川さん
もう自分の気持ちを止めることができなかった。
つぅよりも、止めようとするたび、それを阻止して、俺の懸命に隠そうとする本心を引き摺り出してくるすずねに逆らうのも、もう馬鹿馬鹿しくなっちまった。
すずねの全部をもらい、ようやく全てが吹っ切れた俺は、すぐにすずねを嫁にもらう手続きをした。
"実弥さん実弥さん!私も今日から実弥さんと同じ不死川です!正真正銘、実弥さんの妻です!"
そう言ってあまりにも嬉しそうに笑うもんだから、もっと早くそうしてやりゃ良かったと、柄にもなく自分の行動を悔いた。
それから数ヶ月して、すずねに子を身籠った事を告げられた。
震えちまいそうになる程嬉しかった。だがそれと同時に、どうしても意識しちまう
"別れの時"
を思うと、潰れちまうんじゃねえかと思うほど胸が苦しくなった。そんな俺に
"きっと、実弥さんに似て可愛い子が産まれてきますよ"
そう言って、すずねのやつがまたあの馬鹿みたいに安心しちまう笑顔を俺に向けてきた。
"…俺に似て可愛いだァ?目、おかしいんじゃねェか?"
そんな事を言いながら、まぁるいすずねのおでこを撫でると、驚いちまうほどに心が穏やかになった。
そこから、俺がいなくなった後も、すずねと子どもが安心して暮らせるようにと、産屋敷家とゆかりのある、間違いなく安全に暮らせる場所に家を建てた。個人的な都合で輝利哉様を頼ることに戸惑いはしたが、自分のプライドだとか意地よりも、すずねと子どもの平穏な暮らしの方が何倍も、いや、何十倍も大事だった。
俺達家族…正確に言えば、すずねと子どものために建てた家を、すずねは相当お気に召したようで、やれあの家具を買おう、あの食器を買おうとはしゃいでやがった。そのはしゃぎまくる姿は
…可愛いやつ
見ていて笑っちまうほどだった。