第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
私はそんな壱弥をぎゅっと強く抱きしめ
「…うん。…私も…嫌だよ。今も…もう会いたい。…でも…出来ないの。でもね…私と壱弥が、実弥さんのことを思い続けている限り、実弥さんはずっと、姿は見えなくても…私たちのそばにいてくれるから」
そう言い聞かせるように言うと
「そうだぜ」
そう言って、壱弥の頭に大きな手のひらをのせてくれたのは
「…宇髄様…」
宇髄様で
「そうだよ壱弥君。俺たち、壱弥君が寂しい思いをしないように、たくさん遊びに来てほしいって、壱弥君のお父さんに言われてるんだ。それに、壱弥君の知らないお父さんの話も、これからたくさん聞かせてあげる。寂しい思いなんて…俺たちがさせないよ」
「炭治郎君…」
炭治郎君も、そしてここにいる全員が、実弥さんがそうしたくても出来なかった事をしてくれるつもりだと言うことがわかった。
幼いながらも、壱弥は何か感じ取るものがあったのか
「…とっとぉ…」
小さい声で呟いた後、私の腕の中で静かに泣いた。
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「母ちゃん!爽籟の卵!かえりそうだよォ!」
台所で洗い物をしていると、そんな壱弥の叫び声が聞こえてきた。
「え!?嘘!今行く!今すぐ行くから、もう少し待ってぇ!」
「早くしろってェ!」
「わかってるよぉ!」
爽籟は宣言通り、番との子どもをこの家でもうけた。更に
ワンワンッ
"壱弥…その犬なに?え?追い払ってもついてくる?……なんか、ものすごく壱弥の匂い嗅いでるみたいだけど…知り合い…犬に知り合いは変か。知り犬じゃないの?え?飼いたい?その犬を?……壱弥がお世話するって約束できる?犬を飼うのって簡単なことじゃないよ?責任を持ってその子を幸せにしてあげる自信はある?……そこまで言うなら良いよ。ほらおいで!今日からあなたも不死川家の一員だよ"
近所に遊びに行っていた壱弥が連れ帰ってきた白い中型犬も、何かの縁なのか、家族として迎え入れることになった。