第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
それから程なくして、宇髄様の奥様たち、炭治郎君、禰󠄀豆子ちゃん、善逸君、伊之助君も来てくれて
”俺たちに全部任せてください!”
そういって色んなことをしてくれた。やはり炭治郎君たちも、実弥さんにそうして欲しいと頼まれていたという。
…ちょっと実弥さん…私、何もやることないんですけど。
そんなことを考えていると
「…すずねさん…」
目に涙をなみなみと浮かべた禰󠄀豆子ちゃんがぽつんと廊下に立ち尽くしている私の所にやってきた。
禰󠄀豆子ちゃんは私に向け
「不死川さんから…預かっていたものです。その時が来たら…すずねさんに渡して欲しいと言われていました」
そう言いながら、スッと真っ白な封筒を差し出してきた。
「…実弥さんが…?」
壱弥を抱いていない右手でそれを受け取ると
「私、壱弥君のこと見てるので、ゆっくり読んできて下さい」
禰󠄀豆子ちゃんはそう言って壱弥に”おいで”と言いながら両手を広げ自分のほうに来るようにと促してくれた。
「ねじゅこぉ~」
大好きな禰󠄀豆子ちゃんに誘われた壱弥は、それはもう嬉しそうに私の腕から禰󠄀豆子ちゃんの腕へと移っていった。
そうされてしまえば断る理由もないので
「…ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうね」
お礼を述べ、壱弥の頭を一度撫でた後、今は誰もいない寝室へと向かった。
実弥さんが私の為にと買ってくれた鏡台の前に座り、丁寧に手紙の封を切る。中身を取り出し、二つ折りになっているそれを開くと、広い便箋にたった5行だけではあったが、実弥さんのちょっと歪な字で文字が綴られていた。
…実弥さん…手紙書くの…嫌いなくせに
「…っ…」
まだ1文字も読んでいないというのに、それだけで涙をこらえることができなかった。ぐしぐしと目を擦り、涙でぼやけていた視界をクリアにし、その手紙の文字へと視線を乗せる。
壱弥のことは頼んだ。
お前の笑った顔が好きだ。
だから笑ってろ。
愛してる。
「…っ…短い…短すぎるよ…実弥さん…」
思わず泣きながら笑ってしまった。