第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
「そんなのもう決まってます。壱弥は優しくって強くってものすごくいい男になるんです」
「お前…親ばかにもほどがあるだろうがァ。どっからんな自信がくるんよ」
そう言いながら、実弥さんは呆れたような表情を浮かべている。
「だって壱弥は、実弥さんの血を引いた子ですよ?世界一いい男になるんです。…私、子離れできるか今から不安です」
ふと
”どこの誰だかわからない女にうちの壱弥を渡すことはできません!”
顔にシワの増えた自分が、そう言って壱弥が連れてきた女性を追い返すところを想像してしまい、我ながらそんな架空の自分の姿にゾッとした。
「…うげっ。私このままだと、とんだくそばばぁになってしまいそう!どうしましょう実弥さん!壱弥に嫌われちゃいます!」
「あァん?んなこと俺に聞くなよ。だがそうだなァ…お前、花好きだろ?庭の空いてるとこ使って花でも育てろやァ」
家庭菜園の隣のスペースは確かにまだ何も植えておらず、寂しい状態がずっと続いていた。なので壱弥がもう少し手がかからなくなった際には何か植えたいと常々思っていた。
「わ!それとっても名案です!やります!たくさんきれいなお花育てて…将来的にはそれで生計を立てるくらいになって見せます!」
「そうかいそうかい。どうなるか…高みの見物しといてやらァ」
実弥さんはそう言って笑っていた。
そうして話していると、いつの間にかあと1.2分もしないうちに12時なるというところまで時計の針が進んでいた。
私は左腕を実弥さんの方へと伸ばし、実弥さんの温かい左頬に触れる。そしてスリスリと撫でるように手を動かし、その感触を味わった。
そんな私の行動を、実弥さんは咎めることなく、ただじっと見つめている。 もう一度時計を見ると、時計の長い針と短い針が
カチッ
12の数字の上で重なり合った。
「実弥さん…お誕生日、おめでとうございます。生まれてきてくれて、私と出会ってくれて…私を妻にしてくれて、壱弥と出会わせてくれてありがとう。ずっとずっと…実弥さんのことだけ大好きです」