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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有


実弥さんのその言葉に、寝ているはずの壱弥が


「…やァ…」


まるで呼応するようにそう言うものだから


「…ふふ」
「…ったくよォ」


実弥さんも私も、肩を揺らし笑ってしまうのだった。

一通り笑いあった後


「すずね」


実弥さんが静かに私の名を呼んだ。


「…はい」


私は返事をしながら実弥さんの左腕に抱き着く。


「この3年間、俺は幸せだった。…全部お前のお陰だ」

「…っ…」


引っ込んだはずの涙はいとも簡単に目の端から零れ落ち、次から次へと零れ落ちていく。


「もっと…ずっと…お前等といれたらいいんだけどよォ…自分が命を惜しいと思う日が来るとは想像したこともなかったぜェ」

「…っ…ごめ…なさ」

「…謝んなって。お前には感謝の気持ちしかねェよ。一生分の幸せを、お前と壱弥にもらった。お前等が不便な思いをしないように、金も、手回しも、全部済ませてある。だから安心しろォ。俺がいない生活にも…すぐに慣れる。お前は器量も良いし、見た目も…人並に良い。お前の事も壱弥の事も大切に思ってくれる男が現れたら…そいつと再婚しろ」


”再婚しろ”


実弥さんのその言葉に、私は顔を上げ


「…っ絶対しない!私は一生…死ぬまで実弥さんの妻だもん!壱弥がいつか大人になって出て行っても…ずっとあの家に住むもん!爽籟もずっといてくれるって…子どももあの家で育てるって…言ってくれたもん!」


半ば怒鳴るようにそう言った。

実弥さんはきょとんとした後(その顔可愛くて大好き)


ぶはっ


と吹き出し


「…っ…いや…お前…爽籟って…鴉だろうがァ…女一人が鴉とずっと一緒に住んでたら…近所に気味悪がられんぞォ…」


プルプルと肩を震わせながらそう言って笑っていた。


「…何がそんなに可笑しいんです!?爽籟は鴉だけど…鴉じゃありません!実弥さんを心から愛する私の同志です!家族です!爽籟を気持ち悪いなんて言う輩がいたら…石投げつけて追っ払ってやります!」


爽籟以上に実弥さんへの愛を語り合える相手はいない。実弥さんがいなくなってしまうことへの恐怖も、そして悲しみも、最も分かり合えるのは現状、爽籟だと私は思っている。



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