第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
泣いている顔を見られたくなくて、私は再び自らの膝に顔を埋める。実弥さんは、そんな私の隣にドスンと腰かけると
グイっ
私の左肩に腕を伸ばし、ぴったりと引き寄せてくれた。
「我慢すんな。壱弥もぐっすり寝てる。今のうちに泣きたいだけ泣いとけェ。…んで最後は、お前の馬鹿みたいに明るい笑顔で送ってくれよ…」
そう言いながら、ギュッと、痛いくらいの力でさらに密着させられる。
「…ふっ…実弥さ…っ…ごめ…」
こんなつもりじゃなかったのに。今日は1日笑っていたいと思っていたのに。私は、自分で思っているほど強くはなかったようだ。
「何謝ってんだよ…馬鹿がァ…。ほら、こっち向け」
グラグラと身体を揺すられ、仕方なしに膝から顔を上げ、実弥さんの方へと顔を向けると
「ひっでェ顔」
「…だってぇ…」
優しく細められた実弥さんの目と目が合った。
…やっぱり、こんな顔見せられない
そう思い手で顔を覆い隠そうとするも、肩にあった実弥さんの手が後頭部に回り、グイッと顔を引き寄せられ
ちぅ
実弥さんの見た目よりもずっと柔らかな唇が、私のそれに触れた。
…うそ…。
実弥さんのその行為が、あまりにも衝撃的過ぎて、私の涙は一気に引っ込んで行った。
「…涙、止まったなァ…」
唇を離した実弥さんが、そう言いながら私の頬に残っていた涙を拭う。
「…ここ…外…なんです…けど……」
実弥さんは、今だかつて外で私に口づけてくれたことなんてなかった。どんなにいい雰囲気でも、周りに人がいなくても、私がしつこくおねだりしても
”外でんなこと出来るかァ”
そう言って拒否されていた。それなのに、最後の最後で私の涙を止めるために、自分のポリシーを曲げ私に口づけてくれたのだ。
「最後まで…いつも通りにって…約束したじゃないですか…」
「…そうだったかァ?っつうか先に約束破ったのお前じゃねえかァ。普通の朝飯でおはぎがでてくる家がどこにあんだよォ」
「……不死川家では、これが普通です!」
「はっ!嘘こけやァ」