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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有


実弥さんは、壱弥の両脇にムンズっと両手を差し込み腕の力だけで持ち上げると


「…随分な起こしかたじゃねェかァ…」


そう言いながら指をもじょもじょと動かし

きゃはははっ

お返しだと言わんばかりに壱弥の脇を擽っている。


…あぁ…尊い…。私の夫と息子は、なんて尊いんだろう…。


そんなことを考えながら楽しげな2人を見守っていると


「…お前ェ…まァた阿保なこと考えてんだろォ」


壱弥を左腕に抱いたまま実弥さんは起き上がり、右手で頭をぼりぼりと掻きながら私の方へと近づいてきた。


「失礼ですね!阿保なことなんて考えていません!私はただ、私の愛する夫と息子は尊いなぁ…と、そう思っていただけです!」


腰に手を当て、ムンっと自信満々に私がそう答えると


「…やっぱ阿保だァ…壱弥ァ、母ちゃんいつまで経ってもあんなんだがァ、大丈夫かァ?」


呆れた顔をしながら実弥さんが壱弥に向けそう言うと


「かァ!」


最近お得意の実弥さんの口調の真似をした壱弥が、にっこにこの満面の笑みを私に向けながらそう言った。その無邪気な笑顔は、まさか今日で実弥さんとの生活が終わってしまう事なんて知るはずもなく、さっきまで普通に笑っていたはずなのに、心がぎゅっと切なくなった。


予め、11月28日、つまり最後の日もいつも通りに過ごそうと実弥さんと決めていた。


…絶対に泣いたりしない。いつもの通りに過ごして、大丈夫だって安心してもらって…実弥さんを見送るんだから。


グッと奥歯を噛みしめ


「…朝ごはん、準備できてますから食べましょう!なんと今日はおにぎりではなく…朝からおはぎが出るのです!」


早速いつも通りの約束を破ってしまっているような気もするが


「…おっは!おっは!」

「いつの間にかァお前も立派なおはぎ好きだなァ」


おはぎという単語を聞き、実弥さんの腕から落ちんばかりの勢いで喜ぶ壱弥と、それを見て優しく微笑んでいる実弥さんの顔を見られるのであればいくらだって”約束破り!”と怒られよう。



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