• テキストサイズ

鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有


2歳を過ぎた壱弥は、私の血を立派に受け継ぎ、実弥さん大好きっ子に育った。私が側にいるときは基本的には私の側にいるのだが、実弥さんの手が空いたことをどうやってか瞬時に察知すると、てけてけと私から離れていき、実弥さんに纏わりついていた。


”少しでも多くの蓄えを残してェんだ”


実弥さんはそう言って、有り余るほどのお金があるんじゃないかと私が思うにも関わらず、日雇いの仕事を見つけてはお金を稼ぎに出かけていた。きっとじっと家にいるのが性に合わないということもあったのだろう。

それでも鬼殺隊の柱として過ごしていた時に比べれば…いや、比べ物になんてなるはずもなく、本当に働いてきたのかな?と聞きたくなるほど行ってらっしゃいと見送った時と全く変わらない様子で家に帰ってきて、当たり前のように壱弥のお世話をし遊んでくれたのであった。




そんな幸せな日々が、あと1週間で終わる。
1週間後の11月29日。
実弥さんはとうとう25歳を迎えるのだ。




心の準備は、とうのむかしに出来ていた。輝利哉様、くいな様、かなた様の3人が産屋敷家に残っていた資料を全て調べてくれ、実弥さんがどうこの世を去ることになるのか教えてくれたからだ。

そして何よりも、先に痣の代償のタイムリミットを迎えた冨岡と、その奥様のお陰だ。冨岡様は、奥様に、自分がどのような過程を経てその時を迎えたのか、事細かに実弥さんと私に伝えるよう言い残してくれたという。

奥様の話では、冨岡様は2月8日を迎えてすぐではなく、夜明けを迎えた頃、段々と、まるで疲れて眠りにつくようにその時を迎えたという。大事なのはなぜのその時間帯だったのか。

それは”生まれた時間” と関係があるようだと冨岡様の奥様は言っていた。

初めは、2月8日を迎えたというのに何も起こらず、もしかして痣の代償なんてないんじゃないかと奥様は思ったそうだ。けれども、当の本人である冨岡様は、徐々に回数を減らしてく自分の脈拍からその時が来ることは避けられないとわかっていたという。

その時ふと冨岡様が思い出したのが、冨岡様のお姉さん、蔦子様が、冨岡様は太陽が昇る時間帯に生まれたとそう言っていたということだった。


/ 898ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp