第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
私は片腕に壱弥を抱き、立ち上がると座布団を引きずり居間と台所の境目の位置まで移動した。すると、いそいそとお茶請けの準備をしている実弥さんの姿が見えるようになった。
座布団の位置を微調整し
「よいしょ」
その上に座り実弥さんの後ろ姿をじっと見つめるだけで幸せだった。けれども同時に、あと2年もない、実弥さんと過ごせる残りの時間の事を考えると、胸が一瞬でつぶれてしまいそうになる。
でも私は絶対にその感情を表に出すことはしないし、今後、何があっても出すつもりはない。それは”最後の刻”を迎える時も変わらない。
いや、絶対に変えられない。だってこれは、私自らが望んだことだから。
そんなことを考えながら実弥さんの背中をじっと見つめていると
「…視線が痛ェんだよ」
実弥さんがぼそりとそう言った。
「…へへ。すみません。あまりにも素敵な背中だったのでつい」
「そうかよォ」
こんな時、いっつも馬鹿みたいに正直に
”格好いい”
”素敵”
”好き”
”愛してる”
そう言ってきた自分を褒めてあげたくなる。言いすぎて、軽い言葉に聞こえてしまうと言う人も中にはいるかもしれない。でもそんなことはどうでもいい。だって私は実弥さんに、溢れて零れてしまいそうなほどの私の愛を持って行って欲しいから。
「「「「かわいいぃ~!」」」」
何重にも重なった声は、もはや誰が発したそれなのかもわからない。
「…ほぼ不死川じゃん」
そんな中、宇髄様と
「山に放ったらすぐ野生動物にやられちまいそうだな」
「…っお前は相変わらず山基準でものを考えるな!」
相変わらず野生の感覚を持ち合わせている伊之助君と、実は常識人善逸君が”かわいい”と合唱した女性陣プラス炭治郎君から離れたところでそんな会話を交わしていた。
そんな中
「何言ってんだァ。壱弥はなァ、口元はすずねに似て可愛いんだよォ」
実弥さんはそう言った。