第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
襟元を緩めながら実弥さんが置いてくれた座布団の上に座り、両腕をスッとゆりかごのような形にすると、実弥さんがゆっくりと壱弥をそこに移してくれる。
そのままハフハフと口を動かしている壱弥を彼が求めている場所に導いていくと
「…相変わらず、すげェ飲みっぷりだなァ」
「本当に。道理で食べても食べてもお腹がすくわけです」
一生懸命にむぐむぐと口を動かし、お腹を満たしているようだった。
そんな壱弥の様子を
じぃぃぃぃぃぃ
実弥さんはいつも熱心に見つめていた。初めの頃は、乳を与えているところをそんなにも凝視されるのは恥ずかしく
…あんまりじろじろ見ないで欲しいな
そう思っていた。けれども、実弥さんはいつも、壱弥の授乳が終わり、満足げな顔でくったりとしてしまう壱弥の顔を、本当に、本当に優しい顔で見つめる。その顔を見るのが、私も好きだった。
「…また…寝ちゃいそうですね」
「そうだなァ。…あいつら、もうすぐ着くとよォ」
「え?もうそうんな時間ですか?お茶請けの準備急がないと…」
そう言いながら再び眠ってしまった壱弥を抱いたまま立ち上がろうとすると、実弥さんがスッと私の頭に優しく手をのせ
「後は俺がやる。お前は壱弥と座ってろ」
そう言ってくれた。
「え…でも」
そう言いながら実弥さんの顔をじっと下から伺うように見ると
「昨日の夜も、散々起こされてたろォ?すぐに来ちまうとは思うが、それまでゆっくしてなァ」
実弥さんはそう言いながら私の頭のてっぺんを優しい手つきで撫でてくれた。
「…はい。ありがとうございます」
「…ん」
実弥さんはそう短く返事をすると、居間のすぐ隣にある台所へと消えて行った。
実弥さんは本当によく壱弥の面倒を見てくれる。こんなことを言ってしまったら怒られてしまうかもしれないが、その誰が見ても強面な外見で、小さな壱弥を大事に、それはもう目に入れても痛くないんだろうなって思ってしまう程大事に面倒を見る姿は、どうしようもなく愛おしい。愛おしいと愛おしいが掛け合わさり
…心が幸せ過ぎて…どうかなりそう
そう思ってしまうことが何度もあった。