第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
確かに私と冨岡様の視線は合っており、むしろ見つめ合うような感じになってしまっているのに、冨岡様はただ私をじっと見ているだけで何も言葉を発そうとしない。
…ものすごく目が合ってるのに…冨岡様…なんで何も言わないの?
置物のように整った顔の男性にじっと見つめられ、段々と恥ずかしさに耐えられなくなってきた私が(実弥さんごめんなさい)
「…どうかしましたか?」
そう尋ねると
「……柏木に…聞いてほしい話がある…」
冨岡様にしては歯切れの悪い口ぶりでそう言った。
…なんか…デジャヴ。
そう思った私は、思わず冨岡様に向けていた視線を炭治郎君へと向けた。すると炭治郎君も同じことを思っていたのか、今度は炭治郎とパッと視線が合う。
「迷える子羊が…もう一匹…?」
私が思わずそう口走ってしまうと
「子羊とはなんだ?俺は子でも羊でもない」
冨岡様に真剣な声色でそう言われてしまい
「…ふふっそうですね。失礼しました!」
私は笑いを堪えることができなかった。
「…冨岡様!私でよければなんでも聞きますよぉ!あのクスノキの下でお話ししましょうか」
私がそう提案すると
「…悪いが頼む」
冨岡様がそう答えてくれたので、本日2度目の”クスノキの下相談会”が執り行われることとなったのだった。
無事冨岡様とも話を終えたその時、
「オイ。いっくらなんでも遅せえだろうがァ…」
「実弥さん!」
なかなか戻らない私の事を心配し、探しにきてくれたのか、ものすごく不機嫌な顔をした実弥さんが、私、炭治郎君、冨岡様と仲良く横並びに座っていた私たちの元へと近づいてくる。