第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
「…実弥さんなら絶対に炭治郎君に良い助言をしてくれると思うよ?なんたって実弥さんは…誰よりも強くて優しいんだから」
私がそう言って炭治郎君に笑いかけると
「…そう…ですね!」
炭治郎君は今日一番の笑顔を私に向けてくれたのだった。
そんな風に笑い合っていると
「…あれ?あそこでフラフラしてるの冨岡様…じゃない?」
炭治郎君の向こう側に、テチテチと音が聞こえてきそうななんとも言えない足取りでこちらに向かってくる冨岡様の姿が視界に入った。炭治郎君は私の言葉にグルリと顔を後ろへと向ける。
「あ!本当だ!義勇さんです!…あ、でも…あぁ!あっちは全然違う方向なのに!俺、義勇さんを迎えに行ってきますんで、すずねさんは先に戻っていてください!」
炭治郎君にそう言われたものの
「うぅん!せっかくだし私も一緒に行くよ」
久々に冨岡様にお会いできるのが嬉しくて私はそう答えた。
「わかりました!じゃあ行きましょう!」
炭治郎君はスッと立ち上がると、私に向け右手をスッと差し出してくれる。
「…ありがとう」
炭治郎君の好意に甘えその手を取りグッと子を身ごもった分重さを増した身体を持ち上げるのを手助けしてもらう。その後
「おぉい!義勇さぁん!」
「冨岡様ぁ~!」
全然違う方向へ行ってしまう冨岡様に炭治郎君と2人手をブンブンと振りながら近づいて行った。
そんな私たちの声が届いたようで、冨岡様はこちらへと顔を向けると、軽く腕を降り返しながら方向転換をし、こちらへと近寄って来てくれる。
テチテチとマイペースな様子の冨岡様が相変わらず過ぎて、私は思わず笑ってしまいそうになった。
お互いの距離が近づき、声の届く距離まで来ると
「炭治郎。柏木。久しいな」
冨岡様は表情をほんの少し緩めながらそう言った。
「元気でしたか義勇さん!久しぶりに会えてすごく嬉しいです!」
炭治郎君は、先ほどの神妙な様子が嘘だったかのように明るい表情になり、その姿に私は酷く安心感を覚えた。
邪魔にならないようにと静かに2人のやり取りを見守っていると、ふぃっと冨岡さまの視線が私の方に向けられた。