第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
「………」
炭治郎君は神妙な表情のままじっと地面を睨みつけるように見ていた。
「…私もね、今でも…本当にこれで良かったのかなって悩むときがあるの」
私がそう言うと
「…そうなんですか?」
炭治郎君は静かにそう言いながら私の顔へと視線を寄越した。
「うん。でも勘違いしないでね?…実弥さんを好きになったことに少しの迷いも後悔もない。実弥さんと…あと数年しかいられないことを承知で、それでもいいから私と残りの人生を一緒に過ごして欲しいって…心から思ったの。……でも、置いていかれる方よりも…置いていく方が辛いことって…あるでしょ?」
私がそう言いながら炭治郎君に笑いかけると
「…っ…」
炭治郎君は眉間に皺を寄せ、言葉にならない声を発した。
「…私がね…あんなことを言い出さなければ…実弥さんは、一人でひっそり、誰にも、なんにも言わないで……この世を去ることを選んでたと思うの」
自分で言った事のはずなのに、その言葉の重さに目頭が熱くなって来てしまう。
「でもそんなのおかしいでしょ?命を掛けて頑張って来て…やっと無惨を倒して…これから誰よりも幸せになるべき人たちが…どうしてその幸せを掴まない選択をしなくちゃならないの?そんなの…私は絶対に許せない」
私はじっと炭治郎君の目をまっすぐと見据えながらそう言った。炭治郎君も私から目を逸らすことなく、じっと見返してくれている。
「お願い。時間が限られているからって…幸せになることから逃げないで?炭治郎君が栗花落様と一緒にいたいって…そう望んでいるのであれば、その気持ちを大切にして?きっと…絶対に、栗花落様もそれを望んでるはず。私も、必ず何かあれば2人の助けになるって約束する。だから……ね?」
泣いたら恰好がつかないと思っていたはずなのに、気がつくと私はボロボロと涙を流しながら喋っていた。そんな私を
「…すずねさん…」
炭治郎君も泣きそうな顔で見ていた。
涙とともに出てきてしまっていた鼻水をスンスンとすすり
「…後は…私じゃなくて、実弥さんにも話を聞いてみたらどうかな?」
私は炭治郎君にそう提案した。私のその提案に対し
「そうしたいのは山々なんですけど…不死川さん、俺と話してくれますかね?」
炭治郎君は不安げに私にそう尋ねてくる。