第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
「うん!むしろ触って触って!禰󠄀豆子ちゃんの強いご利益もらって、元気いっぱいに出てきてもらわないと」
「きゃー!ありがとうございます!それじゃあ…失礼します」
「どうぞどうぞ」
そう言って禰󠄀豆子ちゃんのいる方向にお腹を向けると禰󠄀豆子ちゃんはゆっくりと両腕を伸ばし私のお腹にとても優しい手つきで触れてきた。しばらくそのまま、まるで中の様子でも探っているかのように手を動かさないでいると
ボコン
「…!?」
「あいてっ」
お腹の中の赤ちゃんが、まるで禰󠄀豆子ちゃんの手の温もりに反応したかのように大きく反応を見せた。
「もう…最近胎動が激しくてねぇ…流石実弥さんの遺伝子を持っているだけあるなぁなんて」
「ふふっ私のお母さんも同じように痛がってました!懐かしいなぁ…」
禰󠄀豆子ちゃんはそう言いながら目を細め、私のお腹を愛おし気に見つめていた。その時
「すずねさん」
炭治郎君が、何やら神妙な声色で私の名前を呼んだ。私は、禰󠄀豆子ちゃんに向けていた視線を炭治郎君の方に向け
「どうしたの?」
そう尋ねた。すると炭治郎君は視線を落とし、言うのを迷っているのか瞳を左右に忙しなく動かし始めた。
…炭治郎君…なんだかすごく悩んでるみたいだな…。
そんなことを考えながら、炭治郎君の言葉の続きを待った。
炭治郎君はしばらく俯いた後
「後で…すずねさんに聞きたい話があるんですか…時間を作ってもらえませんか?」
炭治郎君は私の目をじっと見ながらそう言った。
その様子に、なんとなく炭治郎君が私と何を話したいと思っているのかわかってしまった。
「…うん。良いよ。でもそれ、きっとすごく重要な話だよね?」
私がそう尋ねると
「はい。俺にとっては…とても重要なことです」
先程の迷っているような感じとは打って変わり、はっきりとした口調でそう言った。
「それじゃあ、先に話しちゃわない?みんな揃っちゃうと、多分なかなか2人にはなれないし、もやもやした気持ちをなくしてからの方が今日を楽しめるでしょ?」
「…すずねさんさえ良ければ、俺はそれで構いません」
「うん」
そう返事をした私は炭治郎君に向けていた視線を、その隣で私と炭治郎君のやり取りを静かに見守っていてくれた禰󠄀豆子ちゃんへと移した。