第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
「あの、雛鶴さん」
盛り付け作業をしながら私が雛鶴さんに話しかけると
「なぁに?どうかした?」
そう言ってお鍋をかき混ぜる手を止めることなく、首だけ私のほうにクルリと振り返った。
…これぞ見返り美人。
その姿に見とれ、自分から声を掛けておいてしゃべるのも忘れている私に
「…すずねさん?」
雛鶴さんが心配げな表情でこちらを見ている。
「…っ…すみません!あまりにも綺麗だから見惚れちゃって!」
私が慌てながらそう答えると
「ふふっ相変わらず可愛らしい人ね」
とこれまた綺麗な笑みを浮かべながら言った。
…と、そうじゃないでしょ私!
声を掛けた本来の目的を忘れてしまっていた自分の思考を軌道修正し
「この間は、突然手紙を…しかもあんな内容の手紙を送り付けたのにも関わらず、すぐに返事をくれてありがとうございました」
いつかのお礼の言葉を述べた。そう言った私に向け雛鶴さんは
「良いのよ。文面だけだとわかりにくかったでしょう?よかったら後でこっそりとやり方教えてあげるから私のところに来てちょうだい」
声の大きさを落とし、ニッコリと微笑みながらそう言った。その笑顔に思わず
”はい”
と答えそうになってしまう。けれども
…ん?こっそりやり方を教わるって…どうやって?え?まさか宇髄様にアレをしているところを見せてもらうとか…?…駄目駄目!そんなの無理だから!想像しただけで恥ずかしくてどうかなりそうだし、実弥さん以外のを目に入れるなんて……
かぁぁぁぁあ
っと頬に熱が集まり
「…っ大丈夫です!お、お気持ちだけ!頂いておきます!」
完全によからぬ妄想をしてしまった私は、恥ずかしさやら罪悪感やらで半ばパニックに陥りながら雛鶴さんにそう答えた。
「そう?それじゃあまた、必要になったら遠慮なく声を掛けて頂戴ね」
「はい!掛けます!ありがとうございます!」
そんな風に台所で騒いでいると(騒いでいるのは私一人だが)、私たちも通って来た玄関の方から
「「こんにちわぁ!!」」
気持ちのいい挨拶が聞こえてきた。