第26章 私の全て、永遠に貴方のものです✳︎不死川さん※微裏有
「えぇ…だってぇ…愛する人に”俺の嫁”なんて言われたら嬉しいに決まってるじゃないですか!それを喜ぶななんて無理です!不可能です!」
「愛する人ねぇ…いやぁお熱いこってぇ」
「…っだっからよォ!人前で好きだの愛してるだの言うなって何べん言えばわかんだよ!お前ェは3歩歩けば忘れる鶏かァ!?」
「もう実弥さん!そんなに大きな声を出したらこの子が驚いてしまいますよ?それにここは人様のお家ですよ?少しは落ち着いて下さい」
「……お前ェは本当によォ…」
「いやいやあの不死川をここまで絆しちまうとはなぁ!柏木お前凄えわ!」
そう言いながらはっはっはと楽し気に笑っている音柱様につられ、えへへと笑う私を
「…笑ってんじゃねェよ」
疲れた顔で見てくる実弥さんのそんな顔でさえ愛おしく感じてしまうからどうしようもない。
その後宇髄さんに客間に案内され荷物を置かせてもらい、夜はそこで寝るようにと言われた。
こうして人のお家にお泊りさせてもらうのが初めての経験の私がワクワクと心躍らせていると、”今からそんなにはしゃいでるとあっという間に疲れちまうからなぁ”
と実弥さんにあきれ半分やさしさ半分に言われてしまうのだった。
荷物の整理を終え居間に向かうと
「いらっしゃい」
「よく来たね」
「お久しぶりです!」
宇髄様の麗しき奥様達がいそいそと宴会の準備をしてくれていた。
「不死川!こっち来いこっち!」
酒瓶を手に、既に一人で飲み始めていると思われる宇髄様が実弥さんを呼んでいる。そんな宇髄様に
「はァ?お前の隣なんざ行きたかねェよ」
実弥さんは面倒くさそうな表情でそう言った。
けれども私にはわかっている。
「実弥さん。私のことは気にせず、今日は宇髄様とたくさんお酒を酌み交わして下さい!」
実弥さんが、私のことを気にしてなるべく側にいてくれようとしている事を。元々、そこまで実弥さんは深酒をしないタイプではあったが、私が子を宿してからというものの、更にその機会も量も減った。決して嫌いというわけでは無いのに、私のことを気遣っての優しい行動だ。