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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


「…天元さん。…さっきも言ったけど…私、天元さんのことが好き。…元奥さんたちの代わりになんて到底なれないけど、私は私なりの方法で…天元さんが寂しい気持ちになんてならないように頑張るから…ね?隣にいさせて?私に…天元さんを好きでいる権利を…ください」


ぎゅーっと、ありったけの気持ちを込め天元さんの腰に抱き着く。


「すずねって言ったな?こんなへなちょこ野郎にはもったいねェくらいのいい女だなァ。宇髄でも煉獄でもなく俺なんてどうだァ?」


煉獄さんに続き不死川さんまでそんなことを言い出し、その言葉だけ聞いたら不死川さんも私と親しくなりたいとそう言っているように聞こえてしまうが


…不死川さんも…わざと言ってるんだろうな。


先ほどの不死川さんの行動から考えると、それが本心でないことなんて容易に想像出来てしまった。

そんな不死川さんの言葉に


はぁぁぁぁあ


斜め上にある天元さんの口から、それはもう大きな溜息が漏れてきたのが聞こえた。


「…テメェら…なんなんだよ」


そう言いながら天元さんは、ぎゅっと天元さんに抱き着いている私の手をやんわりと外し、クルリとその身を回転させると


ぎゅぅぅぅぅぅぅ


「…っ…天元さん……苦し……!」


私の体をきつく抱きしめた。


「……無理。絶対ぇ嫌。煉獄にも不死川にも…こいつはやれねぇ…」


その言葉に


「…っ…天元さん…」


目の奥が熱くなり、じわりと涙が浮かんでくる。


「…そうか。ならば、彼女にきちんと気持ちを伝え、それなりの行動を取るんだな」

「んなもん言われなくてももうわかってるって」

「はっ!どうだかなァ。…あぁあ…変な気ィ遣っちまったから腹減ったぜ。煉獄。ラーメン食べに行こうぜェ」

「それは名案だ!二人とも、ここは人目がある故話の続きはどこか他でするように。学校の教師が夜遅く往来で騒いでいたとあっては生徒と保護者に示しがつかない!」

「…いやそもそもお前が俺を煽るようなことを言うからこんなことに……まぁ悪いのはこいつの気持ちを無視した俺だな。…ありがとうよ」


天元さんはそう言って煉獄さんの肩にポンとその手を置いた。




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