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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


「…っるっせぇんだよ。お前に俺の何がわかる!?俺がどんな気持ちで…っ!」


そう言いながら天元さんは煉獄さんの胸倉をぐっと掴んだ。けれどもそれ以上言葉が出てこないのか口を閉じ、ただ煉獄さんをその鋭い瞳で睨んでいる。


「…っダメ!天元さんやめてください!」


私が後ろから天元さんの服をぐっと引っ張り止めようとしていると、トントンと誰かに背中を叩かれ驚き振り返った。振り返ったその先にいたのは不死川さんで


”しぃー”


人差し指を唇に当て、私に静かにするようにとジェスチャーで伝えてきていた。


……何なの?


そうは思ったものの、私はその言葉に従い、依然として天元さんの服をぐっと掴みながらも不死川さんの指示にしたがい口を閉じた。


「あぁわからない。俺から見れば君は明らかにすずねさんに好意を持っているように見える。そして彼女も宇髄のことを好いている。なのになぜ彼女の気持ちを拒否し、それでいて俺の行動の邪魔をするのか…全くもって理解できない!」

「お前みたいな馬鹿みたいに真っすぐな野郎に俺の気持ちがわかってたまるか!」

「好いた相手を自ら手放し傷つける気持など俺は理解したいとも思わない。もう良いだろう?もし俺の行動を止める権利がある人物がいるとすれば、それはすずねさんの恋人だけだ!俺を止めたいのであればそれ相応の行動を取るといい!……宇髄。彼女はまだ君のすぐ後ろにいる。今ならまだ間に合うんじゃないのか?」


煉獄さんは先程までの厳しい表情を崩し、眉の端を下げ、優し気な表情でそう言った。


「……煉獄…っお前……」


天元さんはそんな煉獄さんの表情にふっとその胸倉を掴んでいた手から力を抜いた。


…煉獄さん…もしかしてわざと…?


私だってそんな鈍いタイプの人間ではない。煉獄さんが天元さんの気持ちを煽るためにわざとあんな行動を取ったことがわかり、私は天元さんの服を掴んでいた手を放し、その代わりその太い腰回りに再びぎゅっと両腕を回した。



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