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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


「…どう…して…?…なんでよ…っ!」


諦められず、遠のいて行く天元さんの背中に向けそう言っていると


「ならばすずねさん!宇髄ではなく俺の彼女になってはもらえないだろうか!」

「…え?」


いつの間に隣に来ていたのか、煉獄さんが私に向けニッコリと全く状況に合っていない微笑みを浮かべながらそう言った。


……え?何…この人…今…この状態で…なんでそんなこと言うの?


突然の煉獄さんからの告白とも取れる言葉に、私が何も答えられないままポカンとしていると


「別にすぐ宇髄の事を忘れる必要はない!俺はそのひたむきに宇髄に気持ちをぶつけるすずねさんの姿を素敵だと思った!あんなふらふらと根無し草のようにしている男より、俺の方がすずねさんの事を幸せにできる!安心するといい!不死川もそう思うだろう?」


そんな私の様子をまったく気にする事なく煉獄さんはそう言った。


「…えっと…その……」


どうしていいかわからず、思わず助けを求めるように白髪さん改め不死川さんの顔を見ると、


「…まぁそうだなァ。あいつよりかァお前の方が…この子に合ってるかもしれねぇな」

「そうだろう!」


助けてくれるどころか、煉獄さんに賛同するようなことを言い始める。


…何…この状況…。


「よし!手始めに連絡先を交換しよう!」


そう言ってポケットからスマートフォンを取り出そうとした煉獄さんと、相変わらず混乱し何も言えない私の間に




「ふざけんな。こいつは……俺のだ」




「…っ!」


天元さんがスッと身体を割り込ませてきた。


…天元さん…今…私のこと…"俺の"って…!


天元さんのその言葉が嬉しくて、まるで自分のものに近寄るなと言っているようなその背中が愛おしくて、ついさっき振られたことも忘れ、今すぐその背中に抱きつきたいと思った。


けれども


「だが宇髄。君は今しがた、彼女の告白を断っていたではないか。それでいて彼女のことを自分のものというのは明らかにおかしいだろう。俺個人としても、彼女の気持ちを拒絶しておいて、俺が彼女を口説くこと邪魔をしようとするのは納得がいかない」


煉獄さんはそんな天元さんの行動をものともせずそう言い返しており、今にも喧嘩が始まってしまいそうな雰囲気だ。




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