第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん
「眞壁さん?」
私が再びそう尋ねると
「…すずねさん。俺、昔っから天元さんのこと知ってるけど…天元さん昔はあんな風に女遊びをする人じゃなかったんす。でもある時からやけになったみたいに今みたいな遊び方し始めて…それからは何年も女とっかえひっかえして…俺、そんな天元さん見てるのずっと辛かったっす!だって俺、天元さんが本当はそんなクズ野郎じゃないって知ってるから!でも、すずねさんを初めてここに連れてきた時、いつもと違う感じの子だからもしかして…って思って!今の話聞いたら猶更そう思って!絶対に天元さんにとってすずねさんは特別です!だからすずねさん!天元さんのこと…絶対ぇ諦めないでください!」
まるでマシンガンの如く言葉が返ってきた。
そんな様子に私がポカンとしていると、眞壁さんははっと我に返ったような反応を見せた後
「俺ってば…お客さんに向かって…つい!すんません!」
鋏を片手に持ったままグインと音がなりそうなほど急激に頭を下げた。そんな眞壁さんの様子に私は慌てて
「…っそんな謝る必要ありませんから!むしろそんなこと言ってもらえて…私凄く嬉しいです!ね?だから顔を上げてください」
後ろをふり返りながらそう言った。
「…ほら。やっぱりすずねさんは、天元さんに寄ってくる外見だけ着飾った軽い女達とは違うんす。俺、2人の事…本気でお似合いだと思ってるんで…頑張って下さい!もし天元さんがすずねさんのこと振るようなことがあれば…俺が天元さんのことぶん殴ってやりますんで!」
「…ありがとう、眞壁さん。でも、可哀想だら、天元さんのこと殴るのはやめてね?」
「善処します!で、明日も天元さんと会うんすか?」
「いつもの流れなら今夜位に連絡が来るはずなんですけど」
「そうっすか!じゃあ今日は特別に、いいトリートメントサービスしておくんで!」
「え!?駄目です駄目です!前回だって…お金を払わずにあんなに素敵にしてもらったのに」
「俺がしたいんす!お願いだからさせて!天元さんを悩殺してやりましょう!」
そんな風に目をキラキラさせながら言われてしまえば、断れるはずもなく
「…ありがとうございます。私…頑張りますね」
「うっす!」
気が付いた時にはそう返事をしてしまっていたのだった。