第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん
扉の向こうに現れたのは
「おっきいベッド!」
キングサイズのベッドで
「んなもんではしゃぐなんて変わった女」
「だって私、ダブルサイズまでしか寝たことないんですもん!」
思わずはしゃいでしまう。
「あっそ。ほら、寝るぞ」
そう言ってベッドへと潜り込んで行く宇髄さんに倣い
「…失礼します」
ドキドキと騒ぎ始めた鼓動をぐっと抑え、その隣に潜り込んだ。
「電気消すぜぇ」
「はい」
宇髄さんは私の返事を聞くや否やリモコンを操作し
ピッ
部屋の明かりを消した。
そしてリモコンをベッドの棚に置くと
「悪いんだけど、俺に背中むけてくんねぇ?」
天井を向いて横になっていた私にそう言った。
「…いい…ですけど…」
素直にその願い出に従いながらも
背中を向けろってことは…本当はベッドで寝てほしくないのかな?
そんな心配を胸に抱きながら私は宇髄さんに背を向けるようモゾモゾも体制を変えた。
すると
にゅっ
「…っ!」
宇髄さんの腕が私の右脇腹とマットレスの間に差し込まれ
ギュッ
私の身体にその大きな身体をピッタリとくつけるように背後から抱き込まれた。
…ちょっと…これは…流石に恥ずかしいんだけど…!
先ほど押し倒され、濃厚なキスを交わしあったものの、Tシャツ一枚の無防備な服装でこうもピッタリと背後から抱きしめられ恥ずかしくないわけがない。
「脇腹痛くねぇか?」
正直にいうと痛かったし、寝づらかった。けれども
「全然平気です」
当然のように私はそう答えており
「悪いな。俺、こうしてねぇと良く眠れねぇの」
「…寂しがりやさん…ですね」
「うるせぇよ」
たくさんいる女の人の中の1人だとしても、こうして自分に甘えてくれるのが嬉しいと、そう思ってしまう。
「…宇髄さん…」
「なんだよ」
「…天元さんって…呼んでもいいですか?」
私がそう宇髄さんに尋ねると
「んなもんいちいち聞かなくても好きに呼べよ。つぅか、その敬語、鬱陶しいからやめろ」
面倒くさそうにそう言われてしまった。
「…はい…じゃないか。うん…おやすみ…天元さん」
「ん、おやすみぃ」
天元さんはそう言うと、私の身体をさらにギュッと強く抱き込み、あっという間に寝息を立て始めた。