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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん


「いいって言ってんだろ。ちょっと待ってな」


宇髄さんはビールをぐびぐびと飲みながら先ほど部屋着に着替えに行ったリビングの隣の部屋へと入っていった。そして何かを手に持って出てきたかと思うと、ズイッとそれを私に押し付けてきた。


押し付けられたそれを見てみると


「…これは…」

「新品未開封のショーツ。セフレだった女が置いてった。こんな時のためにとっておいてよかったぜ」


…”こんな時”…か。きっと私と同じように、たくさんの女の子たちがここにきて、宇随さんに抱かれたがるんだろうな。…私は抱いてすらもらえなかったけど。


見ず知らずの女性が置いて行ったショーツを、例え新品未開封とはいえ使うことに一瞬戸惑いを感じた。けれどもそれ以上に、ブラならともかく、1日履いたショーツを変えられないことの方がよっぽど嫌だった。


「……ありがとうございます。新しいの買って返しますね」

「いやいらねぇし。ほらこれも。貸してやるからシャワー浴びてこい」

「…はい。悪いんですが…おかりします」


私はショーツとワンピースかな?と思ってしまう程大きな宇髄さんのTシャツを受け取り


「浴室あっち。好きに開けて好きに使って」


宇髄さんが指さした方にある浴室へと向かっのだった。







 


女子に人気の甘い香りのシャンプー。
化粧落としに洗顔。
化粧水に乳液。

浴室と洗面所には女性の気配をこれでもかという程感じた。それを隠そうともしない宇髄さんは、私にどう思われようとなんてことないのだろう。

きっとここに来る女の子達はみんな同じだ。それを承知でここに来ているか、あるいは自分が宇髄さんの本命であると信じているのかもしれない。


…大勢の中の一人でいい…今はただ、宇髄さんの事がもっと知りたい。


こんな風に自分が思うようになるとは、今朝の自分には考えもつかなかっただろう。

洗面台に置いてあったドライヤーで髪を乾かしながら鏡に映っている自分を見ると、すっかり原型をなくした髪の毛が目にとまった。


私の髪色だけじゃなくて…心まで…宇髄さんに染められちゃったみたい…。


そんなことを考えながら、熱いドライヤーの風を頭に感じていた。


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