第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん
ここに来ると決めた時から”そうなるかもしれない”と思っていたし、”そうなれたら嬉しい”とすら思っていた。だから答えなんてはじめから決まっている。
「いいですよ」
「…半日足らずで、随分といい女になったじゃん」
宇髄さんはそう言うと私の顔にその端正な顔をグッと近づけ
ちぅ
と私の唇に優しくその唇を押し当てた後
「口開けろ」
私の目をじっと見つめながらそう言った。私がその言葉に従い薄く口を開くと、その隙間からにゅるりと宇髄さんの熱い舌が私の口内に差し込まれ
ちぅ…ちゅる…ちゅっ…
舌を絡めて取られ、優しく尚且つ激しく吸われ
「…ん…っ…ふぅ…」
こんなキス…私…知らないよ…っ!
宇髄さんの巧みなキスに息苦しいやら恥ずかしいやら気持ちいいやらで頭がおかしくなりそうだった。
…ちぅっ
まだキスをされただけ。それだけなのに、もう既にいっぱいいっぱいになってしまった私は、生理的な涙を堪え
…はぁ…はぁ
肩で激しく息をし、思考はトロンととろけ始めていた。
「…やめだ」
「え?」
「そんなんで息が上がってたんじゃ、俺の相手が務まるわけねぇだろ。お子ちゃまが…背伸びすんな」
そう言って宇髄さんはグイッと私の肩の辺りを支えながら、自分が起き上がるのと同時に私の身体を起こしあげた。
その行動に、私の心は残念な気持ちが4割、そしてホッとした気持ちが6割だった。けれどもそんな私の思いがばれないように
「……残念…です」
そう言いながら宇髄さんをじっと見つめた。けれどもそんな私の見栄なんて宇髄さんにはお見通しだったようで
「んな小鹿みたいに震えてる女抱くほど飢えてねぇわ」
「…震えてないもん」
「嘘つけ」
そう言いながら立ち上がり、キッチンの方へ歩いて行ってしまった。
「このまま泊まってってもいいけど…帰るか?」
冷蔵庫からビールを取り出し、缶に口をつけながら宇髄さんがそう尋ねてきた。
「…泊りたいって言ったら…迷惑ですか?」
宇髄さんの中で”抱く価値のない女”と認識されたと思われる自分がここに居座ってもいいのか疑問に思う部分はあったが、可能であれば私はこのまま宇髄さんと一緒に居たいと思った。