第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん
パタッ
「……っ…」
扉を開け、私の目に飛び込んできたのは
…女の子が喜びそうなお酒がたくさん。
アルコール度数がそんなに高くない梅酒や甘そうなチューハイたち。
ツキッ
ほんの少し痛みを感じる心を無視し、私はその中から白ブドウのチューハイを選び手に取った。
チューハイを手に取りソファに戻ると
「それもうほぼジュースなやつじゃん」
部屋着に着替えた宇髄さんが隣の部屋から戻って来た。
「…でも私、白ブドウって好きなんです」
「あっそう。つまみ、チーズしかないんだけど良いか?」
「はい。チーズ、大好きです」
「じゃあ適当に持っていくから座ってな」
「はい」
ポスンとソファーの端に座り、チューハイを両手で握りしめながら宇髄さんが戻ってくるのを待つ。程なくしてお盆にボトルワインとワイングラス、そしてチーズを乗せた宇髄さんが戻ってきた。宇髄さんはテーブルに持ってきたそれらを置くと
「なにんな端っこに座ってんだよ。ほら。こっち来いって」
そう言って自分の隣をぼふぼふと叩いた。
「…はい」
私はその言葉に従い、宇髄さんが叩いた場所にゆっくりと移動した。
ワイングラスにトポトポ赤ワインを注ぎ
「グラスと缶じゃ乾杯し辛えが…まぁいいよな。ほれ、乾杯」
そう言いながら私の方にグラスを傾けてきた。
「…乾杯」
カツン
「…地味な音だな」
そう言った後宇髄さんはグラスに半分以上入っていた赤ワインを一気に飲み干した。
「…お酒、強いんですか?」
「まぁな。すずねは…弱そうだな」
「あんまり飲む機会がないだけでそうでもないと思うんですけど」
「そうか?だったら、コレ、飲んでみるか?」
そう言って宇髄さんは再びグラスにワインを注ぐと私の方にスッとそれを差し出した。
「…飲みやすいですか?」
「俺はな」
宇髄さんのその返事を聞き、私は
…間接キス…宇髄さんは、全然気にしないんだろうな。
そんなことを考えながら赤ワインをクイッと一口飲んだ。
「…っしぶぅい!」
そのあまりの渋さに私が顔を歪めていると
「…っはっはっは!お前、なんだよその不細工な顔!」
宇髄さんがお腹を抱えて笑い出した。
「…っ!」
その笑顔に、私は心を鷲掴みにされてしまう。