第25章 私をあなたの特別に✳︎宇髄さん
「何笑ってんだよ」
そんな私の様子を、宇髄さんが心なしかムスッとした様子で見降ろしてくる。
「…なんでもありません。よし!じゃあ今日はいっぱいお洋服買ってしまいます!彼と旅行に行くためにとっておいたボーナス、この際ですから全部使ってやります!宇髄さん!コーディネートお願いしますね!」
そう言いながら今度は私が宇髄さんの腕を引っ張った。
「お!いいねぇ。上から下まで、全身くまなくこの俺がコーディネートしてやるぜ」
ウィーン
お店の自動ドアが開き
「いらっしゃいませぇ」
私と宇髄さんは店舗の中に足を踏み入れた。
「豪快な買いっぷりだな」
「大丈夫です!ボーナスはまだ半分以上残ってますので」
ブラウス
カーディガン
ワンピース
フレアスカート
バック
パンプス
宇髄さんに勧められたものを次々に迷うことなく手に取り、迷わず購入することを決めた。それらは自分では絶対に手に取らないような物ばかりで、あんなにも気後れしていた気持ちはすっかり忘れ、私は宇髄さんとの買い物を満喫した。
そして
「…どう…でしょう?」
購入した花柄のワンピースにその場で着替えさせてもらい、髪の毛から靴まで、まさに全身を宇髄さんにコーディネートしてもらった私はドキドキと緊張する気持ちを抑えながら宇髄さんにそう尋ねた。宇髄さんは顎に手を当て、じっーっと私を上から下まで値踏みするように見た後
「…派手とは言えねぇなぁ…でも、スゲェ可愛い」
ニヤリと笑いながらそういった。
「…っ…ありがとう…ござい…ます…」
女性慣れしていることも、何か事情を抱えていそうなことも分かっていた。それでも私は
…どうしよう…今日初めて会ったばっかりなのに……好きになっちゃったかも…。
自分には不釣り合いだとか似合わないだとかそんなことを考える余裕もないほどに、宇髄さんに激しく、そして急激に惹かれてしまった。